書籍1巻発売記念SS。レベル0とライトノベル

※10月6日電撃文庫より一巻好評発売中~!記念SS※


※完全ifストーリーで本編とはまったく関係なく、おもしろSSとなっております※




 ダンジョンC3のイレギュラーが落ち着いたとある日のこと。

 イレギュラーのよってダンジョンが封鎖されてしまい、ここしばらく学校で授業を受けることとなった。

 勉強自体は嫌いじゃないので、午後からの授業も新鮮な気持ちで受けていた。

 そういえば、今日はひなから冷気をずっと抑えてほしいって言われていたっけ。

 普段から抑えるために無表情を貫いてきた彼女なのに、こうして面と向かって言われたのには驚いた。

 ふと、授業中のひなが何をしているのか気になって視線を向ける。

 俺の前の席に座るひなは、腰まで伸びた美しい銀色の髪が幻想的で美しい。そんな彼女の髪に青いリボンが見える。

 イレギュラーの一件のあと、買い物に行ったときに贈ったものだ。ちなみに詩乃とついになっていて彼女は赤色だったりする。

 …………こんな綺麗な人が俺なんかが贈ったもので髪をまとめていると思うと、少しだけ顔が熱くなる。

 いやいや、そんなことはいいとして、ひなは何をしているんだろう? さっきからずっと冷気が出ているからな。

 元々毎日午後はダンジョンに向かう探索者授業を受けていた俺たちは、ダンジョンが封鎖されている間、午後の授業には参加しなければならないが、迷惑をかけなければ別のことをしていても問題ない。

 中には探索者の訓練に向かってる生徒もいるけど、俺は授業を、ひなは何かをしている。

 たぶん……勉強ではない? そういや、ひなって勉強は大丈夫なんだろうか……?

 授業が終わってチャイムが流れて、気になってひなを覗き込んでみた。

「ん? 日向くん?」

「あ、ごめん」

「どうしたの?」

「い、いや……ちょっと気になって」

 俺が彼女の手元に視線を向けると、彼女はそれを手で持ち上げて俺に見せる。

「これ?」

「あ、ああ」

「ふふっ。日向くんも読んでみる?」

 読んで……みる?

 彼女から渡されたのは――――一冊の本だった。

 綺麗な青いカバーがかけられた文庫本だ。

 中を開くと驚いたことに可愛らしい女子とイケメン男子の絵が描かれていた。

「これって……なに?」

「ライトノベルというものだけど、知らない?」

 俺は頷いて返す。ライトノベルという言葉を初めて聞いた。

「えっとね。若者に向けたアニメとかになる小説だよ~」

「あ~そんなものがあるんだ?」

「うん。〇〇〇〇〇〇ピー(謎の音)オンラインとか~?」

「あ~! 俺も見たことある。面白かったよ」

「うんうん。それの原作だったりするんだ。とても面白いよ~」

 視線を落とすと、たしかに小説というだけあって文字がびっしりだ。ただ、少し見ただけでものすごく読みやすかった。

「どう? 面白いでしょう?」

「ああ。思ったよりずっと読みやすくてびっくりした。すごく面白いね」

「一巻から読んでみる? それは三巻目だから」

「三巻目? ひなはいつも読んでいるのか?」

 するとひなは少し寂しそうな表情を浮かべた。

「ううん…………五年前まではよく読んでいたんだけどね」

「あ……ごめん」

「う、ううん! でもいまは日向くんのおかげでこうしてまたラノベが読めて幸せだよ~!」

 満面の笑みを浮かべたひなに心臓が跳ね上がる。

 仲間であるひなが今まで楽しんできたものを、俺も楽しんでみようと思う。

「ひな。一巻借りていい?」

「うん! ぜひ読んでみて」

 ひなは鞄から一巻を取り出して渡してくれた。

 彼女の言い方からして、一巻と二巻はすでに読んでいるはずなのに、鞄から出てくるってことは、いつでも俺に貸せるように準備してくれてたと思う。

「ありがとう」

「こちらこそ! またラノベを読めるようにしてくれてありがとうね。日向くん」

 ひなの眩しい笑顔がとても綺麗だった。

 もちろん――――クラスメイトたちの殺気めいた視線が刺さったのは言うまでもない。

 ちなみに、それから俺達メンバーの中でライトノベルが流行ったのはいうまでもない。





 ――【書籍発売&コミカライズ進行中】――


 書籍発売を記念したライトノベルにちなんだSSとなります。

 楽しめましたでしょうか?

 他にSSがあったり、タペストリー特典付きも売っていたりします!

 竹花ノート先生の素晴らしいキャラ絵も相まって、より作品を深く楽しめるようになっております!


 さらに告知になりますが、なんと電撃レグルス様にてコミカライズ企画も進行しておりますので、楽しみにしてくださいっ!

 これから商業版のレベル0もよろしくお願いします!!

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