第2話 破廉恥バニーとバニー創世神ちゃん
まだ第2話ですがこれまでのあらすじ
バニーガールの宇佐美いのりはトラック転生で異世界転生する。しかも金色のパニースーツのまま。尻尾は白、ウサ耳は黒、まあなんて破廉恥。
いのりが顕現した場所は、飛竜とバニースーツに身を包んだたマッチョの戦士たちとの闘いの場であった。
* * * * *
「へ、変態だああああああああああああああああああああああっっ!!!」
空から落下して、マッチョの戦士たちが苦戦していた飛竜を図らずも斃してしまったいのりだったが、パンパンに張ったバニースーツ姿の男たちを前にたまらず悲鳴を上げる。
マッチョの戦士たちは突然のコトに絶句していたが、しかし戦闘で長剣を振るっていた金髪のマッチョ戦士はいのりを指して激高する。
「な――なんて破廉恥なぁっ!!」
破廉恥などと日常ではなかなか出てこないワードを浴びせられたいのりはその言葉自体最初は理解出来ず困惑していた。
「……は……はれんちぃ?」
いのりはジト目で変態たちを見据える。
「……そ、その言葉そのままそっくり返すわよ!」
「何だ貴様! 女の分際で聖なる装備を着ているなんてっ!」
「はい?」
いのりは嫌な予感がした。
「しかも金の聖衣だとっ! なんて扇情的な!」
「ええい見てるだけでなんか下半身が苛々する!」
いのりは全く状況を把握出来ていなかったが、自分がこの場に現れたことでマッチョの戦士たちを大懲らせたいることだけはだいたい把握していた。
「ていうかさぁ、いったい……きゃあ!」
いのりが自分が斃してしまった飛竜の背中に手を突いた時、ようやくそこが死んだ怪物の背中だと言う事に気づいて飛び上がる。そして悲鳴を挙げて飛び退き、金髪のマッチョの背後に駆け寄って隠れた。
「ななななな何よアレ! もしかしてゴジラ? つ、翼もあるっ!」
「おいおい……」
突然逃げ込んできたいのりに金髪マッチョばかりか他の戦士たちも困惑する。
「何だこの女……」
「なんかどこかで見たツラだな……?」
「突然空から降ってきたと思ったら、あの飛竜を一撃で葬ったり、お前何者なんだ?」
「まさかこいつが勇者……?」
「あああああたしは宇佐美いのり、花も恥じらう23歳彼氏いない歴年齢(嘘)、無職フリーターよ! おおお願いだからあの怪物……あれ? もしかして死んでる?」
「死んでますよ」
一番奥にいた天パー入ったピンク髪の戦士が苦笑いする。戦士の中では一番若そうで細マッチョで、他の戦士たちと違いいのりに敵意はなさそうであった。
「リーダー、そいつ、女の癖に聖衣着てますが、ちょっと違うかも」
ピンク頭の若輩戦士はいのりをじろじろみて、ふうん、と感心したふうに言う。
「ちょっとォそんなじろじろ見ないでよぉ」
「派手ですが普通の布服ですね」
「布?」
いのりはそこで男たちが着ているバニースーツが少し変なコトに気づく。
布では無く黒皮と金属のハイブリッドで、装甲が少ない鎧と言った方が近いだろう。もし自分と同じフェイクレザー素材なら、この際どい股間はもっとモッコリしているハズである。コレは僥倖。
「ガチで戦闘服だコレ」
改めて観るとマッチョの戦士たちが装備している使い込まれた剣や槍はどうみても玩具には見えない。いのりは改めて異世界に来てしまったことを理解した。正直理解したく無い現実ではあるが。
「おい」
リーダーは困惑したままのいのりの肩を掴んで凄む。
「お前何者だ?」
「さっき言ったじゃ無い! 宇佐美いのり、おっさん、記憶力無いのぉっ!?」
いのりは怯まずにらみ返して言う。クズのヒモに尽くして水商売も結構長くいた事もあり、商売柄ヤクザに凄まれても動じない度胸は付いていた。店ではその肝っ玉からそのスジの人間たちから気に入られていたようだが、いのりはその手の輩たちとは一線を引く努力をしていた。下手になれ合った挙げ句ヤ●ザの女になって春を売る仕事でもさせられたら堪らない。
いのりの早口な反撃にリーダーは面食らって絶句する。その後ろではピンク頭がクスクス笑ってる。それ以外の面子もつられて笑い出す。リーダーのこの反応がよほど珍しいらしい。
「ソレより一体何なのアンタたち! この訳の分からない世界といい、本当に!」
「ソレについては妾が説明しようしようしょう(反響)」
その時だった。突然声が降ってきた。
いのりは顔を上げると遙か上空からゆっくりと降りてくるグリーンの布が見えた。
よく目をこらすとソレは薄いライトグリーンのベビードールを天女の羽衣のようにふんわり羽織った、真白のバニースーツを着た幼女だった。
「おおっ、創世神様!」
リーダーがその名を口にすると一同整列し、膝を突いてバニー幼女に向いて敬礼する。
天から舞い降りてきたのは、プラチナブロンドの髪に生足剥き出しのバニースーツと同じ真白のウサ耳を被り、見た目は小学生くらいだが大人びた赤いハイヒールを履いた赤目の美幼女であった。
いのりその光景を見てこいつら本気で変態だと思い、もしもしポリスメンと警察に通報してやろうかとしまったが思い踏みとどまった。
「んもー、いつになったらお前らそーちゃんて気さくに呼んでくれるのかの」
踏み台から飛んだような呆気ない着地を果たした創世神は困ったふうに言う。
「いえ、創世神様は恐れ多い存在、とてもとても。――もしや」
リーダーは顔を上げて驚き、
「ここに現れるから迎えに来るようお告げにあった勇者とは、まさかその破廉恥な女!?」
「は、はい?」
いのりは一斉に男たちから視線を浴びせられて身じろいでしまった。
つづく
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