第40話 文献
「ねえ、姉さん…皆が私の事を女神だって言ってるけど…何なのあれ!!!!!」
「女神って言うくらいだから…女性の神様なんじゃない?」
怒り狂う私の質問に姉さんは、またすっとぼけていた。
私は怒りの矛先をミクに変えた。
「女神って何よ!!!!!」
私はミクの肩を握って激しく揺さぶった。
ミクの身体が私の揺さぶりで力なくユラユラ揺れていた。
しかし、冷静に考えるとこんな状態で話などできるはずが無い。私はミクを揺さぶるのを止めた。
「古い書物に登場する、この世界を救う癒しの存在よ」
「だ~か~ら~私のどこが癒しの存在だって言うのよ!!!!!」
私はまたミクの肩を激しく揺さぶった。
私の力に身を任せユラユラ揺れるミクの顔には表情が無い。
私の迫力にドン引きしているのだろうか。
私は奴隷の様に過ごしていた自分が女神と言われる事が納得できなかった。
女神というのはもっと清いものだ、私の様に薄汚れた人間ではない。
それに何と言っても私には自覚がないのだ。
文献でなぜ女神と謳われているのか私には理解できなかった。
きっと何かの間違いに違いない。
「ミク、私その文献とやらを見てみたいんだけど…」
「うん。長老に話してみるよ」
ミクはそう言うと長老の元に向かい何かを話していた。
すると長老は私の元に減り下ってやってくる。
長老は女神と聞いてからの私への態度が明らかに違っている。
私はそんな長老の嫌らしい態度に今までとは見方を変えていた。
「どうされましたかな~?」
私の元へやってきた長老はゴマでも擦るかのように揉み手を繰り返していた。
私はそんな長老を感情の無い顔で見つめていた。
「女神が出てくる文献を見たいんですけどぉ~」
「文献ですか…わかりました…」
私の言葉に長老は少し戸惑っていたが、渋々承諾した。
そしてエルフの里の奥にある神殿へと案内した。
神殿は森の奥にある湖の畔に佇んでいた。
霧の中でひっそりと鳴りを潜める様子はとても神秘的だった。
私たちはその神殿の中に足を踏み入れていく。
奥の祭壇にその文献は祀られていた。
長老は丁寧に文献を取り出して私に差し出した。
「………………」
文献を開いて中を確認したが私には何が書いてあるのか全くわからない。
冷静に考えると私は文字が読めなかったのだ。
姉さんの所に持っていって何と書いてあるのか尋ねる。
「いにしえの……光差すとき……現れし……きたりて……」
姉さんの話を聞いているが何を言っているのか、さっぱりわからない。
まるで子守歌を聞いてるように眠気を誘う。
私は姉さんの話を聞きながらうつらうつら眠っていった。
『ぽかっ!』
「痛っ⁈」
「ちょっと…ちゃんと聞きなさいよ!」
「だって…何言ってるかわかんないんだもん…」
涙目でそう呟く私の言葉に姉さんは深く溜め息を付いた。
「要するに、あんたが現れてこの世界を救って行くって事が書かれているのよ」
「えーーーっ!それ本当に私?違う人じゃないの~?」
「山芋の精霊の私の事も、契約の証の痣の事も詳しく書かれているから、あんたで間違いないわよ」
私は愕然としていた。絶対に私の事を言ってるのでは無いと思っていた。
姉さんまで出てきて、途方に暮れた老人の顔みたいな痣の事まで出てきているのなら否定の使用が無い。
「あっ、この文献ではあんた最後にはこの世界から居なくなるわよ」
私は何処に行くのだろう。両親の元へ帰るのだろうか。
姉さんのその言葉に私は不安と期待を同時に募らせていた。
奴隷の幼女が山芋で最強 神社巡り @jinnjya
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