第11話 記憶

「なぁ…政やん、

  昔の事なんだが…覚えてるか?」


と高谷は政やんと呼ばれる男に

缶珈琲の飲み口を見せた。


政やんと呼ばれる男は

黙って缶珈琲の飲み口を眺めた。


政やんと呼ばれる男は気付いた。

いや、気付かされたのだ!


「そうだ!そうだよ!高谷さん!

      そうだったよなぁ〜!」


と政やんは左手で目を覆い

顔を空へ向けた。


政やんと呼ばれる男が気付いた様子を見て

高谷は…


「な!政やん!

 何気なしに毎日毎日…

 俺はこの缶珈琲を

 飲んでいたんだよ!毎日だぞ毎日!

 俺は今日まで忘れてたんだよ!」


思い出したのが嬉しかったのか

高谷は政やんと呼ばれる男に言った。










「昔と今と缶珈琲プルトップの

 形は違っていたんだよなぁ…。」

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