毒
いつか花に成って、混ぜ散らばって、枯れて縮んで、ドロドロになって。浪費されていく私は名など残らず、為した事さえ知られず、地球上の他の誰かの養分となる。無論、残せる名は無いし、為した事など一つもないのだけれど。
朧は月光を受け、猛る炎のように夜に燃えていた。何処かの晴れは何処かの雨、揺らぐ夜焔は不文律。私が抱く不幸は、言うまでもなく誰かの幸に成り得る。
そういう生涯は、どうだ。人の為の生涯は、どうだ。
毒のような言葉が頭蓋骨を叩く。反響して反響して反響して、減衰することなく跳ね回る。
眠っているのだ。悪い夢を見ているのだ。落ちていたライターを弄んで、手に付いた砂を疎ましく思う。そんな風に、自らの選択の結果、不都合にばかり目を向ける人生だった。
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