準備編

ダンジョンを作ろう! 

 …うむ。


 どうやら転生できたみたいだ。自分は玉座らしきもののに座っており、床には赤いカーペットが敷かれている。


 ここだけ言えば魔王の居城であるようだが、柱や壁は荘厳な感じで魔王の城というよりは神殿のような神聖さを感じる。転生した際に刷り込まれた知識によるとこの部屋でダンジョン関係のお仕事ができるようだ。


「つまりは仕事部屋ってわけだ」


 玉座のある部屋、まあ玉座の間としよう…がある部屋には玉座から見て右手側と左手側両方に扉があった。


 左手側の扉を開けて入ってみるとキッチンや寝室、トイレなどがあった。どうやら生活部屋のようだ。食材は毎朝自動で復活するなど生活に関することで不自由はないようだ。これもまた刷り込みされた知識だ。


「不老不死でも腹は減るし、眠くもなるということかね」


 部屋を出て右手側の部屋に入る。どうやらここで地上の様子を見たり、ここと地上の行き来ができるようだ。まあ、今はいいだろう。


「こんなところか」


 ここはどこなのか、家族は元気だろうかと疑問は浮かぶがそれらを振り払うためにも早速仕事を始めることにした。



 *****



 というわけでついにダンジョンを作ろうと思う。しかし世界中にばらまく以上、一つ一つ手作りでは時間が掛かりすぎるので、取りあえず特殊なダンジョンを作るのは後回しにして、世界中にばらまく用の特に特別な敵やギミック、構造などのないスタンダードなものから作って行こう。


 まず階層は1から10層までランダムに決まるように設定する。


 次に床や壁、天井といったいわゆるフィールドだ。どうやらダンジョン内は異空間扱いらしく天井を高く設定することができる。


 設定可能なものは洞窟とか森の中に草原、中世の城塞や墓場などのありふれふたものから雲の上や火山の内部、果ては宇宙船の内部のようなところまであった。しかもフィールドの一部を改造したり、1から作ることもできるようだ。凄まじく自由度が高い。


「でもまあ今必要なのは一点ものじゃなくて攻略されることが前提のテンプレートだからな」


 一応構造自体はランダムに作られるので全てが一緒というわけではないが。


 テンプレートなので中に入った人たちがダンジョンと確信できるように選ぶフィールドは石畳の墓場、草原、森の3つにして墓場には墓標が、草原には遺跡が、森には川がランダムに追加されるようにした。


 追加された場合、簡単なギミックや出現する魔物にも手を加えられるようだがこれは後ほどやろう。



 そしてお待ちかね魔物の時間だ。使用したフィールドごとにダンジョンに設定できる魔物は決まっており、草原だと


 ・ゴブリン系

 ・ホーンラビット系

 ・オーク系

 ・ウルフ系

 ・スライム系


 遺跡込みだとこれにパペット系とマキナ系が追加される。ちなみにパペット系とは人形のような魔物のことだ。ドール系じゃないのかと言われそうだが、表示ではドール系(パペット系)とされているためどっちでもいいと思う。


 マキナ系だが、これは機械系の魔物だ。パペット系と混同されがちだが、見た目はだいぶ異なり、パペット系はアンドロイドだがマキナ系は戦闘用ボットみたいな形をしている。尤も、高位のマキナ系だとアンドロイドみたいなのもいるため、判別しづらくなる。


 森は草原とほとんど同じ構成だがそれに追加で


 ・スパイダー系

 ・ビー系


 などがある。

 川を設置すると、俗に言うドラゴンとか竜とかの系列の魔物が呼べるようになる。無論高位のものを呼ぶつもりはないが。


 そして最後、墓場は構成が変わり設定できる魔物が


 ・ゾンビ系

 ・スケルトン系

 ・ゴースト系


 ちなみに墓標を置いても魔物の種類が増えたりはしない。


 フィールドごとの魔物の設定を済ましたら最後はドロップアイテムの設定をする。


 ダンジョンでは魔物を倒すと魔石を残して死体は消えてしまう。だが、それとは別に魔物の素材やポーション、武器などが出現する。これがドロップアイテムだ。


 取りあえずテンプレート用のダンジョンでは素材とポーション、それに使用することで魔法やスキルを覚えられるスキルブックを中心にドロップするように設定。また、低確率でランダムな魔物の説明書のようなものをドロップするようにしておいた。


 例えばゴブリンであれば、


 ゴブリンは身長130cmほどの人型の魔物。力こそ小学校低学年レベルだがずる賢く、奇襲を仕掛けて来ることも多い、また人型ではあるがコミュニケーションを取ることは不可能。ゴブリン風情と侮るなかれ、彼らは常に全力だ。思わぬ策略に足を掬われぬように気を付けるべきだ。


 こんな感じの文章が書かれたものだ。


 スキルブックとしてドロップする魔法やスキルに関しては低位から中位のものがランダムにドロップするようにした。


 *****


「こんな感じかな?」


 一通りの設定が終わり設置準備が完了した。正直手を掛けられるところはいくらでもあるがまあ数を揃えるだけであればこんなものだろう。


 眠くもなってきたので適当になんか食べてから寝るとしようと。

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