無条件の愛

 君は本当に分かり易いな。

 色鮮やかな感情を、その華奢なカラダ全身で表現してくる。表情、態度、そして声で、包み隠さず恥ずかしげもなく魅せつけてくるんだ。そんなところが堪らなく可愛いくて、俺のココロを掴んで離さない。もう三年の付き合いだが、この感情は色褪せず、むしろ愛しさが募るばかり。もちろん君には秘密だけど。


 自分に無い個性はより一層魅力的に映るらしいが、君の隣にいるとその確証が持てる。

 俺は感情のない人と思われることが多い。無理もないと思う。感情の起伏を晒して未熟と判断されたくないし、笑顔すら、どことなく見られるのが気恥ずかしい。

 「他人ひと他人ひと、自分は自分。笑顔はコミュニケーションの潤滑油になり得るが、結果を確約しない」と割り切っている程度には、自分を諦めている。他人にどう思われようと、俺は。


 でも、君は違った。


 初めて会った時から、壁を作ることなく寄り添ってくれた。そこからは何があっても、傍にいてくれた。コロコロと表情を変えながら、俺を楽しませ癒してくれる。

 感情表現の愛らしさを知った。

 無条件の愛とは何たるかを教えてくれた。

 君の瞳を通して見る俺は、世界一穏やかな微笑みを浮かべているだろう。


 今日も寝る前に、君を抱きしめるとしよう。

 一日の終わりも、始まりも、君と一緒がいい。

 さあ、こっちへおいで。


 名前を呼べば、案の定嬉しそうに腕の中に収まり、俺の頬にキスを落とす君。緩みかけた理性を制御しつつ、その無防備な腹に手を滑らせる。ここが気持ちいいポイントらしい。既に蕩ける視線、熱い吐息。

 君のことは全部知ってる。知り尽くしてる。ここがいいんだろう。ああそうだ、こっちも。

 そろそろ寝ようか。そんなに欲しがってもダメだそ。眠れなくなるだろ。いい子にしてろ。続きはまた明日な。


「リオ、ハウス。いい子だ、おやすみ」


 スカイブルーのベッドに身を横たえるリオは、ミニチュアシュナウザーで、俺の可愛い愛犬。

 さあ、今度こそおやすみ。いい夢を見るんだよ。

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