第17話 - 王国の逃亡者






―――――― 称号【王国の逃亡者】を取得しました ――――――


「は?」


あの川を超えて、2日目の夜。

森を静かに歩いていら視界の端にそんなメッセージが現れた。


(ステータスオープン)


―――――――――――――――――――――

称号: 王国の逃亡者 ← NEW!

―レベル10 ボーナス50ポイントゲット!―

―――――――――――――――――――――


「えっ⁉」


ステータスを開けたら、画面の前にそのメッセージがあった。


(どうなってんだ⁉)


―――――――――――――――――――――


【ステータス】

名前: ―― ← 『名前を決めてください!』

年齢: 25 種族: 人間

称号: 王国の逃亡者 ← NEW!

レベル: 10 - 経験値【6248/11250】 ← レベルアップ!

SP: 5 + 60 ← 60ポイントゲット!



HP: 1030/1030

MP: 186/186

攻撃: 474 防御: 360

魔攻: 235 魔耐性: 212


筋力: 76 [86]

魔力: 31 [31]

知力: 61 [61]

速さ: 102 [113]

器用: 82 [87]

運: 10


【アクティブスキル】

-『身体強化 Lv.1』

-『治癒 Lv.1』



【パッシブスキル】

-『支援魔術 Lv.1』

-『治癒魔術 Lv.1』

-『盾術 Lv.1』

-『剣術 Lv.1』


【一般スキル】


【特殊スキル】

-『言語理解』

-『魔物鑑定 Lv.1』


【装備】

『武器』

- 鋼の剣 [筋力 +3% / 器用 +3%]


『防具』

- 鋼の盾 [筋力 +3% / 付与魔術:ライト Lv.2]

- エルンダ騎士の革鎧 [筋力 +5% / 速さ +3%]


『アクセサリー』

- 逃走のアンクレット [速さ +8%]


―――――――――――――――――――――


「こりゃあ、すごい…」


レベル10ボーナス。

それは城でも教えられたことだ。レベル10、20、30…っと、10レベル毎に

ボーナスSPが貰える。


緑風の森でレベル10までにしたかったのはそれを狙ってのことでもあった。


(本来は15SPだけを貰えると聞いていたが50だなんて、流石勇者って

ことか…)


SPのことは理解できたが、称号のところに目を向けると。


(称号のことも城で学んだが…)


称号というのはその人を表すものだと言われている。


称号を貰える方法は色々ある。

例えば、昔に一つの街を救った人が『英雄』の称号を、ドラゴンを倒した人が

『ドラゴン殺し』を、と城で教えられた。


(これはもしかしたら、国境を超えたからのか?)


あの川からもう2日間も離れているけど、国境を超えたっと分かる目印が無いの

で、とにかく歩き続けった。だけど、これはエルンダ王国を出たから貰った称号

かもしれない。


(無事に国境を超えたならいいけど、迷惑な称号だな…)


これを誰かに見られたら変な誤解を生むことになる。


(誤解も何もないがな…って、それより称号を変えよう)


称号のところにタッチしたら称号リストが現れた。


―――――――― 【称号】 ――――――――

『無称号』

『異世界人』

『勇者』

『王国の逃亡者』← NEW!

―――――――――――――――――――――


(城でも試したが、称号を空白することもできるのは助かるなぁ)


称号を『無称号』にして、俺はステータス画面を閉じた。


(さて、王国の逃亡者はともかく、65SPを持っているのは大きい。

これをもしもの時のために取っておこう)


こうして、確認を終わった俺はまた静かに歩き出した。



………

……



王城を逃げ出してから、15日。


エメルデイオ王国にも無事にたどり着いた俺は今、北西へ向かっている。


(目的地はこの国だが、流石にいつまでも国境の近くに居るわけにはいかない)


だけどここでまた問題がある、この国の情報が少ないということだ。

地図では大きな街や村は載っているが、騎士の話では地図の5倍の村があっても

おかしくないだそうだ。


(まあ、それがこの国を逃げ先に選んだ理由の一つだがな)


俺の目的は地図に載っていない村の一つに入り、冒険者として働くことだ。


(そのためにも色々とやることがあるがなぁ…)


ゲゲッゲッ


「ん?」


いつものように進んでいると、鳴き声が聞こえた。


(棍棒フロッグの群れか。それにしても…)


10メートル前方に4匹の棍棒フロッグが歩いていた。

狩りをしていたのか、そいつらは猪の死体を運んでいる。


(普通の猪のようだなあ)


地球のと見た目がちょっと違うが、この世界にも牛、鳥、豚などの普通の動物が

存在する。


(それよりも、もしかしたら巣が近いのか?)


大体の魔物は一匹で居ることが多いが、群れを成しているときはどこかに巣を

作っているんだ。


(大きな群れだったら危険だが、倒せる数ならいい経験値になりそうだな)


棍棒フロッグの経験値は45前後だ。今の俺にはちょうどいいので、最近は

コイツらを優先的に探している。


(さて、行くか)


様子を見ると決めた俺は静かに棍棒フロッグ達の後をつけた。


そして、歩くこと十数分、とんでもないものを見つけた。


(あれは、ダンジョンだ…)






つづく

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