第10話 - レベルアップ





森に入ってから2時間。

最初のを含めて4匹のスライムを倒している、今の経験値はこんな感じ。


―――――――――――――――――――――

レベル: 1 - 経験値【131/150】

―――――――――――――――――――――


もう一匹でレベルアップできるから、今は馬車へ戻っている途中にヒーゼルが索敵

のスキルでスライムを探している。どうしてスライムだけに会っているっと

思ったが、任意的に他の魔物を避けているようだ。


そして、遂にそいつを見つけた。俺たちの足音を聞いて、草むらからスライムが

出てきた。ステータスを確認して、大丈夫と判断した俺は盾と剣を構えた。


ぴゅるるぅっ!


スライムは体を縮めてからの体当たりをして来た。剣で切ることも出来たが、

せっかくだから、それを盾で防いでみた。強くはなかった衝撃だが、

子供だったら転んでいたかもしれない。


(転んだ後で顔に張り付いてくるってか)


その確認に満足して、奴の魔石を壊さないように体を剣で削り斬った。

奴の体は少しずつ再生を始めたが、俺の攻撃速度に追いつかない。数回その体を

斬ったところでスライムは水溜りへ溶けた。


(これで魔石を壊さないで倒せるな)


少し乱暴な方法でスライムは結構苦しがっていたが、あいつは漫画みたいな

マスコットキャラじゃなく、この世界の人達を殺している魔物だ。


(まあ、優しい魔物にも会いたいがなあ~)


――――レベルが1上がりました――――


(おっ!ステータスオープン!)


視界にそんなメッセージが現れたから、ステータスを確認してみた。


―――――――――――――――――――――

レベル: 2 - 経験値【157/300】← レベルアップ!

SP: 0 + 10 ← 10ポイントゲット!

―――――――――――――――――――――


(よっしっ!よっしっ!よっしっ!)


思わずその場でガッツポーズをした。


(これでSPくらいはこの世界の人達以上の成長ということがほぼ確定した)


普通の3に比べて、レベル一つで10個もSPが貰ったのは大きい。

王城で良くして貰っているが、弱いっと分かったら、態度が変わることもあり

得るだろう。今はできるだけいい関係を続けたい。


(今は、だけどな)


自分の確認を終わり、ヒーゼルにSPを見せたら、騎士たちと一緒にすげえ

喜んだ。


その後でもう一度のレベルアップで本当に10SPをもらい続けるかどうかを

確認して、俺たちは馬車のキャンプに戻り、報告のために一人の騎士を城まで

向かわせた。


その間にヒーゼルと日課の訓練をして、夜に戻ってきた騎士が王からの返事を

連れて来た。


どうやら他の勇者も無事に10のSPを貰ったようで、王城は祭り状態だった。


そして1週間後、俺たちのことを全国に知らせるために大きな祭りを上げるだ

そうだ。


(もう、時間が無いな…)


祭りのことを聞いて、俺はここに来てからの目的をもう一度思い出した。


………

……


翌日の朝。


まだ4日間はこの森でレベルアップをすることになっている。

それが終わったら城へ戻り、祭りの準備をするっとのことだが、俺は参加する

つもりはない。


城で過ごした30日で色々と考えをまとめることが出来た。

国に従い、魔物と闘い続けるのもいいかなっと思いもしたが、どうも気になること

がある。


それは、あの女神のことだ。


異世界の定番である女神。大体は世界を救いたいだの、壊したいだの、

気まぐれだの、物語に出る女神の目的には様々なものがある。だけど転移者、

転生者に力を与えて、世界に何かの影響をもたらしているのはみんな一緒だった。


物語でそれを見ると、何だか主人公たちの人生が操られているっと感じて、

イライラした。


もちろん、運命、宿命とかで人の人生は定まれていない。みんな自分の意志で

生きている。


(だけど、やっぱりいい気分じゃない)


突然に現れたダンジョンの魔物を倒すため。俺たちはそれのためだけに

召喚されただろう。それが本当である可能性は大きい。


だけどそのダンジョンって、本当に突然に現れたのか? 魔物は何?ダンジョンは

何?女神は何?っと気にしすぎて、素直にこの状況が受け入れない。


(夢にも見たこの世界で何が起きているのも知らずに、流されるがままに

生きたくない)


もしかしたら大きな過ちをしようとしている。

このまま城に残り、他の転移者と一緒に世界を救えるかもしれない。


だがその後で何がある? またいきなりどこかに連れられて、同じことが

起きるかもしれない。


だから、俺はやりたいことをやる。それだけだ。



(そのために、この一か月で逃げる計画は練っているが、一日中騎士に

護衛されているこの状態では無理みたいなもんだ)


最初はあのネズミを見た日から魔物と闘い、レベルアップで貰ったSPを使い、

城から逃げるつもりだった。だけどその許可をもらえず、今まではあの石食い

ネズミ以外の魔物に合っていなかった。だからこそ、この森でのレベルアップが

非常に大事だ。


この4日間で爆発的にステータスを上げないと、逃げることが出来なく、祭りで

顔を見せることになる。そうなったら、後で逃げても簡単に見つかれる。


だから、ここが正念場だ…


………

……


「ヒーゼル、少しいいか?」


昨日と同じく、森に入る準備をしていたヒーゼルに声を掛けた。


「良平殿、どうした?」


「今日の探索だが、スライム以外の魔物とも闘いたいが、いいかな?」


「なるほど。F~Eランクの魔物までと、Dランクに遭遇した時は俺たちに

任せること。この条件を守るというなら、許可しよう」


元々そのつもりだったか、以外にあっさりと許可が出た。


「分かった」


(よっし!これで少しは自由に動ける)





つづく

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