第9話 - 戦闘





緑風みどりかぜの森に入って、30分。


これから魔物と闘うっと思うと緊張するが、今の自分なら出来る!っと頭で

繰り返し、以外に冷静さを保っている。


騎士たちから聞いた話では、この森はF~Eランクの魔物の住処だが、薬になる

植物や、珍しい動物が見つかれるようで、近くの町の人達は結構出入りしていた。

だけど、3ヶ月に奥の方でCランクの魔物が巣を作ったことで、今は余り人が

来ていない。


Cランクなら、騎士たちで倒せるんじゃないっと思ったが、どうやら一気に

高ランクの魔物を倒すと、他の魔物が暴れだすこともあるので、町に被害が

出る可能性もある。


そんな話をしながら歩いていると、ヒーゼルが足を止まり、一本の木の上を

指差した。


良平りょうへい殿、枝に魔物が居る。Fランクのスライムだ。ちょうどいい相手でしょう」


「分かった」


(全然気付かなかったな。ていうか、最初に闘う魔物はスライムかあ)


ヒーゼルの言う通り、木の枝に30センチくらいの緑色のぷよぷよしたものが

あった。


(あれが本物のスライムか。癒し系のような目と口を持っていないが、少し可愛い

見た目だな)


スライムの倒し方はヒーゼルから学んでいる。

木の上にいるのは通っている獲物の顔に飛び降り、死ぬまで口と鼻に張り付く

という狙いだ。しかも、レベルとランクが高いスライムの中に酸や毒で

出来ている個体もあるとのことだ。


(えげつないなあ)


ここはそいつを地面に落としてから闘うのが基本だ。


「っ!」


俺は地面にあった石を拾って、スライムに投げつけた。


ぷるるっ!


スライムは衝撃で地面に落ちて、体を猫みたいに激しく震わせた。

それに痛みはあるのか、顔は無いが、まるでこっちを睨んでいるっとばかり

だった。


まだ襲ってこないのを見て、魔物鑑定を使ってみた。


―――――――――――――――――――――


【ステータス】

【名前】: スライム

【種族】: 魔物

【ランク】: F

【レベル】: 3


HP: 258 / 258

MP: 40 / 40

攻撃: 48 防御: 44

魔攻: 31 魔耐性: 27


筋力: 8 [8]

魔力: 5 [5]

知力: 2 [2]

速さ: 4 [4]

器用: 2 [2]

運: 10


【スキル】

- ? ? ?


―――――――――――――――――――――


(ステータスは結構低いな。スキルは見えないが、魔物図鑑によれば大体は

自己再生 Lv.1だ)


漫画でよく見かける強力なスキルだが、この世界にもアレがちゃんと存在する。

スライムの定番、体の中に魔石があり、その魔石を壊したらスライムは

死ぬってな。


(それでもめちゃくちゃ強いだがなっと、来るかっ)


スライムが威嚇を止めて、こっちに近づけようしていた瞬間に俺も動いた。

素の状態でも行けるだろうが、身体強化を使い、ヤツに剣を振り下ろした。


「フッ!」


(うほおっ!すげええっ)


真っ二つだ。スライムは反応も出来ないまま、真っ二つにされた。


(もう分かっているが、普通の世界じゃないな。自分の腕がこんなに早く動く

なんて)


魔石を壊されたスライムの体は水溜りになり、その真ん中で2つの欠片が

残された。そして体の横で、なんと…20センチくらいの木製の宝箱がゲーム

みたい演出をして現れた。


(本当にゲームみたいだなあ)


この世界の魔物を倒すと宝箱、ドロップボックスが貰える。そのドロップボックスにもランクがあり、木、銀、金の順番で箱の中身が変わる。


俺が宝箱に手を乗せると、すうっと消えて、地面に銅貨1枚が落ちった。


「良平殿、見事だ」


銅貨をバッグに入れたら、見守っていたヒーゼルが近づいてきた。


「ああ、ヒーゼルに教えてもらった通りにした。経験値も図鑑通りに増えたよ」


スライムを倒した時に経験値がちゃんと入った。


―――――――――――――――――――――

レベル: 1 - 経験値【26/150】

―――――――――――――――――――――


経験値はスライムなら普通の量で、勇者だから経験値倍増!っとかは

無かったが、成長が遅いよりはいいだろう。


それからは役に立たないってヒーゼルに言われたが、真っ二つの魔石をバッグに

入れた。こうして、気を引き締めてから、俺たちは探索を再開した。




つづく。

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