第7話 - 訓練の日々






師匠になる騎士が決まった日から、1週間。


この7日間というものを説明したら、それは"大変"の一言で足りる。


あの日から、俺たち転移者は別行動をするようになった。

図書館でこの世界の勉強をしている人、魔術の訓練だけをする人、一日中、部屋に

籠もている人とか、みんなバラバラだ。


そして俺…


「はぁっはぁ…」


訓練場で防具を装備しながら走っていた。

ヒーゼルに戦闘の役割を相談して、俺にもタンクを務まることが可能っと

言われた。


残りのSPも振り終わって、走る速度と体力は以前と比べ物にならないくらいに

上がった。それでも今の訓練、身体強化を使いながら走るのはキツくて、数日が

立ってもまだ慣れない。


「ほれ、勇者殿、まだまだ続けるだろう」


「ああ!」


少し休憩をしていたら、ヒーゼルが呼んだ。今度はスキル取得への訓練だ。

どうやらスキルを持っている人は使うだけじゃなく、教えることも可能で、俺は

戦闘のために2つのスキルを会得しようとしている。


1つ目は剣術、2つ目は盾術だ。


剣術は色んな型からの素振りと体力作りが基本。

盾術は型の練習、そしてひたすらにヒーゼルの攻撃を盾で防ぐことだ。

ゲームみたいに確定した回数をこなしったら取得できる漫画もあるが、ここでは

そんなものはないようだ。


その才能があれば取得は早いが、違うなら地道に頑張るか、諦めて、違う道を

歩むだけだ。


一週間も過ぎて、俺はまだどっちも取得出来ていない。

ヒーゼルの説明ではそれが当たり前で、普段は1ヶ月で取得出来れば

優秀だそうだ。


(それでも、才能云々の話をされたら焦るがなあ)



夜には図書館で借りた本と魔物図鑑を使い、ヒーゼルから勉強を教えてもらった。

高卒から25歳まで何の勉強もしなかった俺には魔術の勉強とかは難しく

感じたが、知力にSPを使ったおかげで、少しずつ学んでいる。


そんなこんなで、俺は今日も、日が暮れるまで訓練を続けた。


………

……


そんな日々が続けて、3週間。遂にスキルを取得出来た。

更に1週間、この世界で一ヶ月が過ぎたところで2度目のスキルを取得。


(本当にすごいなあ、これ)


盾術と剣術のスキルを取ってから、剣と盾の構い方とか、

振り方や相手までの距離の測り方がなんとなくだが、上手くなった。



そして、部屋で籠もっている人は分からないが、他の人も強くなっているようだ。

特に気術関連のスキルを持っている人達は訓練場によくいるから、毎日その成長が

見える。


(全部上手く行っているみたいだが、明日には本番が待っている)


そう。今までは騎士に教えてもらい、俺たちは順調に成長をしたが、それは城内

だけの話だ。俺たちはまだ魔物と闘っていない。


そして明日、それぞれ自分の護衛騎士と一緒に魔物を狩りに行くと言われた。


俺たちが召喚された本来の目的を果たす時が来たのだった。





つづく

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