第4話 - 情報収集





コンコン


「勇者様、時間です。よろしいですか?」


夜の19時になったところでドアをノックして、使用人は俺を呼んだ。


(いよいよか)


ステータスを鑑定した後、夜でまた話をしようっということになった。


「ああ、大丈夫よ」


身体強化を解除して、ベッドから立ち上がった俺は部屋を出った。

騎士と使用人の様子は前と同じで、俺が部屋を色々と調べたのに気づいている

素振りはない。


(断言はできないがな)


それを考えていると、他の部屋からも転移者達が出ていて、みんなで王の間へ

向かった。そこに着くと、前と違って貴族たちは居なかった。


「勇者たち、少しは休まれたか?」


「はい、おかげさまで少しは冷静になることができました」


学生の青年が王に答えた。


「そうか。それでは、今後のことを話しようか。アレックスよ」


王の隣で控えていた、他の騎士より少し派手な青い鎧の騎士が前へ出た。


「勇者のみんな、初めまして。俺の名前はアレックス、国の対魔物騎士団の団長を

勤めている。明日からは君たちに魔物との戦い方を教えることを任された者だ。

宜しく頼む」


騎士団長の挨拶の後に、他の担当も挨拶をした。魔術の担当、一般スキルの

担当。どうやら俺たちをいきなり戦いに投げ込むじゃなく、この城で訓練を

させるつもりだ。


その後は豪華な食事を食べる事になった。

毒が怖かったが、なにも食べないと悪目立ちするっと思い、少量だけを口に

した。


食事の間、王たちは俺たちと色んな話をした。

俺たちの世界の事や、どんな生活をしたか。他にもこの世界で俺たちは英雄になる

とかで会話は盛り上がった。


その会話で名前を聞かれて、俺は良平っという偽名を使った。先生は名字だけを

知っているから、上手く誤魔化したと思う。



(それにしても、やっぱりいい人達に見えるなあ)


………

……


食事が終わり、俺たちは明日に始まる訓練のために部屋まで案内された。


部屋に入った俺は確認のために窓の下を見たが。


(流石に高いな)


地面まで十数メートルもありそうな高さだった。


(降りるのはムズいだろう)


地面から視線を上げ、周りを見ていた。

夜で暗いが、ここから見えるのは果てしない森だった。

下町とかがあると思ったが、何も見当たらない。


(反対側にあるのか?)


確認はできないっと諦めて、俺は部屋の真ん中へ戻り、身体強化の使い方に

集中した。


(少し掴めたな)


注意する点はMP消費と体への負担だ。強化している時に疲れが数倍に感じて、

体力を上げないと長い時間は使えない。


支援魔術も使おうとしたけど、なんとなくだが、それは身体強化の効果を少しだけ

上げている気がする。


それから治癒魔術も使い、色々と試して、一時間が過ぎた。流石にこれ以上の

疲れはダメと感じて、切り上げる。


(ちょっと話をしてみようか)


「あの~」


俺は外の護衛を呼んだ。


「はい、どうかしましたか?」


「明かりの消し方を教えてくれないかな?」


「もちろん、いいですよ」


使い方は簡単で、すぐに出来た。壁にあった板に手を乗せるだけで明かりが

消される。逆も同じく、特に魔力を流す事などを意識するっという必要は

なかった。


騎士から聞いた話では、これはダンジョンにある光る石っというものだそうだ。


(確かに、漫画でもよくあるあれだな。ということは、この世界のダンジョンは

洞窟型のかな?)


チャンスっと思って騎士たちに他にも色々聞いてみた。

2人も俺たち勇者の事が気になったのか、こっちの事を聞きながら、さまざまな

情報を教えてくれた。


「それじゃ、レベルは魔物を倒す事で上がるのか?」


「はい、強い魔物ほど、貰える経験値が増えるです。レベルが上がれば3SPを

貰えますけど、レベル1でもう110を持っている勇者様なら、それ以上貰える

かもしれないのですね」


どうやらここの人たちはレベル1の時には28SPを持っている。

3ポイントはレベル1で、そして25SPは誕生を祝福して、女神が与えるだ

そうだ。


(SPで上げたステータスはどれくらい強くなるだろう?)


「SPってそんなにすごいか? 重いものを持ち上げるとか、早く走れるみたいなもの

かな?」


「そうですね、強い戦士は巨大な剣を振り回したり、馬より早く走ったりも

できるようになります。高レベルの魔術師は十数メートルの火の竜巻を起こし、

支援魔術師なら同時に数十人に強化魔術を使えますね」


(支援魔術はそういうことか、すげえ、俺も早くそうなりたいな)


情報を得るために話かけたが、やっぱりこの世界への好奇心が抑えなく、

その後も3人で色んな話をして、朝を待っていた。






つづく

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