今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第455話~エキシビジョンマッチへ向けての準備~
第455話~エキシビジョンマッチへ向けての準備~
結局、あの地上人嫌いのヒッポカンプ公爵が言い始めたエキシビジョンマッチとやらは開催されることになった。
あいつ、あれでも海底王の叔父にあたる人物だそうで、それが強硬に主張するものだから海底王としても抵抗しきれず、エキシビジョンマッチの開催となったわけだ。
エキシビジョンマッチは三試合行われる予定だ。
魔法戦が一試合に肉弾戦が二試合の予定である。
誰が出るかを話し合った結果、魔法戦にはエリカ、肉弾戦には俺とリネットが出る事になった。
そして、準備のために一日猶予が設けられつ事になり、俺たちは町の中に一軒家を貸してもらいそこに泊まることになった。
貸してもらった家はそれなりに広く、十人程度が一日や二日過ごすには十分ではあったが、物件的にはオンボロだった。
壁などの造りは割としっかりしているものの、内装はボロボロでトイレなどの設備もボロかった。
ベッドも一応はついていたが、やはりこちらも廃棄寸前の古いベッドで寝心地はあまり良さそうではなかった。
そのベッドを見てヴィクトリアが文句を言っている。
「何ですか!このベッドは!これじゃあグッスリ寝られないです。最悪です!」
寝ることが大好きなヴィクトリアとしてはこのベッドはあり得なかったらしく、あれやこれやとベッドに一通り愚痴を吐きまくったあげく、目の前のベッドを部屋の外に出すと、収納リングからベッドを取り出して、そちらの方に寝転がるのだった。
他の嫁たちや子供たちもヴィクトリアと同意見らしく。
「この汚いベッドで寝たら、うちの息子が病気になりそうですね」
「うーん、アタシでもこのベッドはちょっと無理かな」
「私もこの汚いベッドでは寝たくないですね」
「銀姉ちゃん、僕、このベッドで寝たくないな」
「そうだね。銀もふかふかのベッドで寝たいなあ」
「「「ということで、ヴィクトリアさん。私たちにもベッドをお願いします」」」
彼女たちももちろんヴィクトリアにベッドを出すように頼むのだった。
それと、セイレーンとヴィクトリアのおじいさんもこの扱いに対して怒っていた。
「私、こんな無礼な扱いを受けたのは初めてです。あのヒッポカンプ公爵という男、本当ムカつきます」
「あの男、一体神を何だと思っているのだ!まあ、我々が神だとは知らぬのかもしれないが、それにしても到底客人に対する扱いとは思えない。およそ人としてあり得ない所業だの」
彼らもヒッポカンプ公爵の態度が気に入らなかったらしく、そうやって散々公爵のことをこき下ろすのだった。
というか、俺は知らないぞ。
あの公爵のやつ、セイレーンとヴィクトリアのおじいさんを怒らせてしまって。
セイレーンはああ見えてとても恐い神だからな。
ヴィクトリアがセイレーンのことをつい「叔母様」と言った時のセイレーンの目つき、本気だったからな。
しかもセイレーンは相当力のある神で、かなりやりたい放題ができる。
そんなのを怒らせてしまったら、後からどうなっても知らんぞ。
それにヴィクトリアのおじいさんまで怒らせるなんて、命知らずにも程がある。
ヴィクトリアのおじいさん、前にうちの妹がヴィクトリアを嵌めようとした時、怒ったおじいさんが妹のやつに呪いをかけたからな。
そんな人に嫌われて、公爵の人生これからどうなるのだろうかと思う。
きっとうちの妹のように不幸が次から次へと襲い掛かって来る人生になるに違いなかった。
そんなことを思いながら、俺もヴィクトリアに出してもらったベッドに横になりつつその日は床に就くのだった。
ちなみに気になっている人がいるかもしれないので言っておくと、セイレーンとヴィクトリアのおじいさんも普通にヴィクトリアが出してくれたベッドに寝たからな。
俺たちはいざという時のことを想定して、ちゃんと予備のベッドも持っているのだ。
備えあれば患いなし。
本当昔の人は良いことを言うものである。
★★★
翌日、俺たちは会場となる闘技場の下見に行った。
闘技場はエキシビジョンマッチへ向けて急ピッチで会場の設営の準備を行っており、大勢の作業員が忙しく働いていた。
今回のイベントはトリトンの市民にも解放して大規模に行われるようで、その為に設営の作業もド派手に行われていた。
入り口の所には色とりどりの看板が掲げられ、『地上人対海底の勇士によるエキシビジョンマッチ会場』と、大々的に銘打たれていた。
会場の飾りつけも普通の試合よりは派手なようで、あっちこっちに花やサンゴが飾られ、見た目にも賑やかな雰囲気を醸し出していた。
それに今回の試合を見ようとすでに市民が集まり始めているようで、入り口には長蛇の列ができており、その人たち目当ての屋台までが出ていた。
「あそこの屋台のイカ焼き。おいしそうですね」
屋台を見て、早速食い意地を発揮したヴィクトリアが屋台に向かおうとしている。
本当に仕方がないやつだ。
そう思いながら、俺はヴィクトリアにお金を渡す。
ここでは地上のお金が使えないので、滞在費として海底王から一人頭銀貨二枚分のお金をもらっていたので、そこから銀貨一枚を渡してやる。
海底でもお金の感覚は地上とそんなに変わらないので、屋台の買い物位なら銀貨一枚もあれば足りるはずだった。
「大切に使えよ」
「ありがとうございます。ホルスター君に銀ちゃん、行こ」
「「うん」」
そして、俺にお金をもらったヴィクトリアは子供たちを連れて買い食いの旅に出たのだった。
★★★
「ふー、おいしかったです」
ヴィクトリアが、まあ他の皆も食べたのだが、買い食いを楽しんだ後は闘技場内の様子を見に行った。
何と言うか、地上にあるのとさして変わらない普通の闘技場だった。
ただ明日は海底王陛下も見物に来るらしくそのための席が準備されていた。
宝石で飾られた立派な席で、えらい人が座るのにふさわしい席だった。
後、今回は魔法戦があるので間違って魔法が観客席へ飛んで行っても大丈夫なよう魔法の結界を張るための装置の設置なんかも行われていた。
まあ、エリカが本気を出せば結界を破壊してしまうかもしれないが、エリカもその辺は手加減をするだろうから大丈夫だと思う。
こんな感じで闘技場の見学をした結果、普通に戦えば問題ない。
そう感じたのでこの日はそのまま帰って、明日のために英気を養ったのであった。
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