今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第454話~海底王との謁見 そして、謁見の場に現れたのは?~
第454話~海底王との謁見 そして、謁見の場に現れたのは?~
海底王と謁見することになった。
見回りの兵士に不審者として取り囲まれた時、海の主が割り込んできたのを見た兵士たちが「こいつら、一体何者だ!」と驚き、海底王に報告した結果、急遽海底王との謁見が決まったのであった。
海の主は取りえずトリトンの町の外へ帰しておいた。
「また後で必要な時に呼ぶからね。それまで待機ね」
セイレーンがそう優しく語りかけると、海の主は大人しく町の外へ出て行った。
「こちらにお越しください」
案内係の役人の案内で俺たちは謁見の間へと進んで行く。
海底王国の王宮は、トリトンの町の他の建物同様いやそれ以上に、宝石サンゴできれいに装飾された見事な建物だった。
その上、王宮の中には所々、壺や絵画など高価そうな品が飾られており、地上のものとはちょっと雰囲気の違った
それらのものを見物するのも楽しいものだった。
実際、美術品に造詣の深いエリカなども。
「あら、あの壺。ちょっと変わっていますね。自宅にも一つくらい飾っておきたいですね」
とか言っているしね。
そうやって俺たちが王宮についてあれやこれや妄想しているうちに。
「こちらが謁見の間になります」
いつの間にか謁見の間へと到着していた。
★★★
謁見の間に入ると、すでに海底王は玉座に座って俺たちのことを待っていた。
俺たちは海底王の前まで案内されると、そこに膝まづく。
それを見た俺たちに海底王が声をかけて来る。
「余は海底王ネプトン20世である。部下の報告によると、その方たちを不審者と判断した部下たちがお前たちを捕縛しようとしたところ、海の主様が現れてお前たちのことを守ろうとしたそうだが、お前たちは一体何者なのだ」
その海底王の問いかけに対して俺はこう答えるのだった。
「お初にお目にかかります、海底王陛下。私はホルスト・エレクトロンと申します。私たちは地底にある地脈を封印すべく地上から参った者です」
「何?お前たちは地上人だと申すのか?それに地脈の封印とは?」
「はい、地上人で間違いありません。海の主の力を借りてここまで来ました。それと、地脈の封印は女神アリスタ様から受けた神命です。この世に復活しようとしている邪悪な存在の復活を阻止するために、海底にある地脈の封印をするようにアリスタ様から仰せつかっております」
「海底にある地脈の遺跡とは、伝説にあるナウル火山の遺跡のことか?」
「詳しくは存じませんが、多分そうだと思います」
「うーむ」
そこまで俺の話を聞いて海底王は深く考え込む。
いきなり何の前触れもなくこんな話をされて戸惑っている感じだ。
まあ、それはそうだ。
知らない人間に突然神の神命を受けて活動していると言われても、普通の人なら困惑するだけだからな。
今までいろいろな国の王様にも同じ話をして、幸いなことに信じて協力もしてもらえたが、それはそれ以前に国王たちの頼みを引き受けたり実績をあげたりしていたからで、今回のように完全に初対面の場合だと、そうそう信じてくれるわけが無かった。
それで、海底王も随分と悩んだようだが、悩みに悩んだ末、こう結論を出してきた。
「そなたたちの話、私としては簡単には信じることができぬ。しかし、海の主様がお前たちを守ろうとしたのも事実。それに、そなたらの目を見るに、こんなとんでもないことを虚言として言うような人物にも見えぬ。だから、一応はそなたたちのことを信じてみようかと思う。ゆえに海底王国への滞在を許すので、そなたたちのやりたいようにやるがよい」
その海底王の話を聞いた俺は、やったーと思い、心の中で祝杯を挙げた。
そして、海底王にお礼を言うべく口を開こうとした。
「海底王陛下。ありが……」
「待たれよ!」
と、その時俺たちの会話に割り込んできた人物がいた。
俺が声の主を見ると、大きく腹の出たいかにも底意地の悪そうな人物がそこにいた。
★★★
「ヒッポカンプ公爵。陛下の前に突然現れるとは、いくら陛下の叔父上とはいえ、無礼でございますぞ」
突然の乱入者を、ヒッポカンプ公爵というらしい、衛兵が押しとどめようとしたが。
「えええい!下賤の者風情が無礼な!」
と、言いながら無理矢理衛兵を押しのけると、ずかずかと海底王の前までやって来る。
そして、立ったままの姿勢で海底王へと話しかける。
「陛下、先程から話を聞いていましたが、このような訳の分からない地上人の言うことを信じて、滞在許可を出すとは何事ですか!」
「いや、公爵よ。そなたの言い分もわからないではないが、別にこの者たちは別に邪悪な存在ではないと思うし、滞在許可くらい出しても良いのではないかと思う」
「邪悪ではない?そのようなことが分かるものですか!見てください、そこの男の顔を!これは一見善良そうに見えるけど、その実中身は邪悪な心で満ちている者の顔ですぞ!」
と、公爵のやつ、俺の顔を指さしながら、そんなふざけたことを言ってきやがった。
人の顔を見て善人面した悪人だとか、失礼にも程がある。
それは海底王も思ったらしく。
「公爵、それはあまりにも失礼ではないか。この者たちは仮にも海の主様に認められた者ですぞ」
と、公爵に言ってくれたのだった。
「私は失礼だとは思いませぬが、陛下がそうおっしゃられるのならそういう事にしておきましょう」
海底王に指摘されてしまった公爵は仕方なしそうにそう言ったが、決して謝ったりしなかった。それどころか。
「ただ、私は地上人など信じられません。地上人は野蛮で極悪な連中です。そんな連中を信じては、王もきっと後で後悔する事になりますぞ」
どうやら公爵は地上人のことが大嫌いらしく、海底王にいさめられても決して俺たちの悪口を言うのを止めなかったのだ。
地上人と言うだけでここまで俺たちのことを悪く言えるとは、公爵、本当に性根の腐った奴である。
その上で、さらにいちゃもんまでつけてきやがった。
「それに、私はこの者たちが海の主様に認められたかどうかについては疑問があります」
「ほほう、どうしてそう思うのだ?」
「なぜならこの地上人共とてもひ弱そうではありませんか」
「ひ弱?いや、そうは見えぬが」
「いいえ、弱いに決まっております。海の主様は海神セイレーン様にお仕えする強大な力を持った神獣。本当に強い者にしか力を貸さないと聞き及びます。ですので……」
そこまで言うと、公爵は俺たちのことを指さしながらこう言うのだった。
「この者たちが我が国に滞在するのにふさわしい者か、その力を試すべきです。ここは闘技場にてエキシビジョンマッチを開き、この者たちを戦わせるべきです」
その公爵の言葉を聞いた俺は、公爵にいい加減腹が立っていたこともあり、こう思うのだった。
エキシビジョンマッチ?いいだろう。受けて立ってやる!
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