今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~
第453話~海底王国王都 俺達はうまく王都へ入り込めるのか?~
第453話~海底王国王都 俺達はうまく王都へ入り込めるのか?~
俺たちは海底都市の少し手前でノーチラス号から降りた。
理由は海底の人たちを驚かさないようにするためだ。
何せ海底の人たちは潜水艇など見たことが無いだろうからな。
だから突然潜水艇のような見たことがない乗り物が現れたりしたら腰を抜かすかもしれない。
そのための配慮だった。
さて、ノーチラス号から降り、ノーチラス号をヴィクトリアの収納リングに収納したら準備完了だ。
「さあ、行くぞ」
「「「「はい」」」」
そして、俺たちは海底王国へと向けて歩き始めるのだった。
★★★
「うわー、すごくきれいな町ですね」
目の前に広がる海底都市を見てヴィクトリアが感嘆の声をあげる。
ヴィクトリアの気持ちはよくわかる。
海底都市の建物は白を基調とした建物なのだが、その装飾方法がすごかった。
何せ色とりどりの宝石サンゴを使ってこれでもかというくらいきれいに飾り付けられているのだ。
その飾り付け方も成金のような悪趣味な品のない飾り方でなく、どうすればより宝石サンゴや建物の美しさを引き出せるかという芸術的センスに長けたものだったので、ヴィクトリアの心のときめき具合がよく分かるというものだ。
他の嫁たちもヴィクトリアと同意見のようで。
「「「とても素敵ですね」」」
と、都市の美しさに魅了されてしばらく都市から目が離させないような状態だった。
そんな乙女チックな嫁たちを見ていると、俺は嫁たちのことがますますかわいく思えてきて、ここまで連れて来て本当に良かったと思うのであった。
ちなみに、セイレーンの話によると、目の前の都市の名はトリトンと言い、海底王国の王都らしかった。
さて、都市の美しさを堪能するのはこれくらいにしてそろそろ中へ入って行こうと思う。
★★★
トリトンの城門には門番が一人しかいなかった。
しかもあまり仕事には熱心ではない様子で、仕事そっちのけで椅子に座って本を読んでいるような有様だった。
こんなザルな警備でもトリトンの町が平和なのには理由がある。
「ここにはね。昔私があげた宝玉が置いてあってね。その宝玉の力で都市の周りを空気の膜兼結界で覆うことができているの。だから、ここの人たちは魔物におびえず生活で来ているという訳よ」
セイレーンの話によるとそういうことらしかった。
というか、結界か。そんなものが張ってあるのに俺たちは無事に通れるのだろうか。
そうも思ったりしたが。
「大丈夫よ。何せ私の力で張っている結界だからね。私が許可を出せば何事もなく通れるわよ。それにそもそも城門の部分には結界が通っていないからノープロブレムよ」
ということらしい。
城門の所に結界は張っていない。そういう事なら大丈夫そうだな。
……というか、それならあの門番油断し過ぎということになるのだが、本当海底王国これで大丈夫なのか?
そんなことを考えつつも、俺たちはこの好都合な状況を利用して都市の中へと入って行くのだった。
★★★
結論から言うと、トリントンの町には何事も無く入ることができた。
水中散歩から帰って来たらしい海底人たちと一緒に素知らぬ顔で城門から入ったのだが、門番は俺たちの方すら見ることなく、素通り同然に簡単に入ることができたのだった。
これで、トリトンの町を自由に移動できる。
俺たちはそう思い、トリトンの町の中を歩き始めたのだが、世の中そこまで甘くなかった。
★★★
「お前たち!何者だ!」
トリトンの町を歩いていると、突然見回りの兵士にそう誰何すいかされた。
後で聞いた話によると、どうやらあまり見慣れない顔の連中が町の中を歩いていると町の人間により警備隊に通報され、見回りの兵士たちが駆けつけて来たという訳の様だった。
確かにこの都市は他との交流が少ないようだから、そんなに知らない人間を見ることはないはずで、見るとしたら他都市からの交易商人くらいらしかった。
それで、俺たちは交易商人に見える風体をしていない。
だから怪しまれたという訳の様だった。
ちょっと脇が甘かったが、こうなっては仕方がなかった。
こうしている間にも兵士たちは槍を構えて俺たちに対する包囲網をドンドン縮めてきている。
この包囲網を突破するのは簡単な話だが、それでは見張りの兵士たちに怪我をさせてしまうし、海底人たちの印象も悪くなってしまうだろう。
さて、どうしようか。
俺がそう悩んでいると。
「ピ、ピー」
そう叫びながらトリトンの町の結界を破って町に侵入してくる存在があった。
「う、海の主?」
それは海の主だった。
★★★
「ピーーーー」
海の主はトリトンの町へ入ってくると、一路俺たちの方を目指して突進してくる。
そして、俺たちと兵士の間に割って入ってくると、俺たちを守るように兵士たちの前に立ち塞がるのだった。
「まさか。セイレーン様の使いである『海の主』様がこの者たちのことを守っている?」
その様子を見て兵士たちが驚き慌てふためいている。
当然だ。
彼らは海で生きるものとして海神であるセイレーンに対する信仰心が厚い人たちだ。
そのセイレーンの使いである海の主が俺たちを守るような行動をとったとなれば、慌てふためくのも当然なのだった。
「とにかく海底王様にこのことを報告しろ」
そして、海底王にまで俺たちの件が報告されることになり、その結果。
「海底王様がお前たちにお会いしたいそうだ。ついて来てくれないか?」
「もちろん構いませんよ」
と、急遽海底王との謁見が決まったのだった。
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