第451話~海中での初戦闘 巨大な海底の魔物よ!『海竜の加護』の力を知れ!~

 魔物が出現したと聞いた俺たちは急いで戦闘態勢を整える。


「リネット、俺と操縦を変わってくれ!」

「任せて!」

「ネイアはリネットを補助してくれ」

「はい」

「エリカは引き続き音波装置で周囲の監視だ」

「了解です」

「ヴィクトリアは、俺について来い。外で戦闘だ」

「ラジャーです」


 そうやって役割分担を決めると同時に行動開始だ。

 リネットたちが操縦席に着き、ノーチラス号の操縦の引継ぎを確認した後、俺とヴィクトリアは外に出る準備をする。


「ヴィクトリア、準備はいいか?」

「はい」


 見ると、ヴィクトリアも杖を構えて準備万端のようなのでいよいよ外に出ることにする。

 ヴィクトリアの手を取り。


「『空間操作』」


 魔法を唱えると一気に外へと出る。


★★★


 転移ゲートをくぐるとそこは水中だった。


 水中だが『海竜の加護』の効果で息はできた。

 具体的に言うと、俺とヴィクトリアの周囲を半透明の膜が包み込み、その中にいる限り地上にいるのと同じように息ができるし、水で服が濡れたりもしなかった。


 もちろん、膜で包まれている者同士なら普通に会話できた。

 しかも、この状態でなら水中での上下左右の移動も自由自在であり、その辺の魚よりも余程良い動きができるはずだった。

 その上、この状態ならば水中での戦闘能力も向上していて、たいていの魔物に遅れはとらないはずだった。


 まさに至れり尽くせりと言った感じである。


 ということで、さっさと魔物を倒してノーチラス号へと帰ろうと思う。


★★★


 外に出たところで魔物の姿を確認すると、超大型の魚の魔物が一体迫って来ていた。

 全く見たことも聞いたこともない魔物だったので、とりあえず魔法で確認してみることにする。


「『世界の知識』」


 検索の結果。


 『グレートライジングフィッシュ』

 全長三十メートルほどある魚の魔物。

 その名の通り、電気属性の攻撃を放ってくる。

 普段はその雷属性の攻撃を駆使し、他の魚たちをしびれさせ捕食することによって生活している。

 そして、こちらの電気属性の攻撃も効果は無い。

 倒すのなら雷属性防御を施した上で、力づくで押して行こう。

 なお、こいつの鱗は耐電性の高い防具の素材として海底世界では高く取引されている。


 ……以上が検索結果だった。


 要するに力で倒して行けと言う事か。

 そういう話なら、そうさせてもらうことにしよう。


 ということで俺はすぐさま作戦を考える。


「ヴィクトリア。お前は魔法を展開してノーチラス号を守ってくれ!」

「ラジャーです。『極大化 防御結界』」


 俺の指示に従ってすぐさまヴィクトリアが魔法を展開する。

 ポワンと光の壁が出現し、ヴィクトリアとノーチラス号をすっぽりと包み込む。

 これで仲間の防御は完璧なので、後はグレートライジングフィッシュを倒すだけだった。


「『神強化』」


 俺は自分に魔法をかけ、攻撃力と防御力を高めると魔物へと突っ込んで行った。


★★★


「ウガアア」


 迫りくる俺に対してグレートライジングフィッシュが攻撃を仕掛けてくる。

 ビシューンと大きな音を立てながらの電撃攻撃が俺へと迫って来る。


 その攻撃を盾を前面に出すことで防ぐことにする。

 電撃が縦に命中して激しい振動がするが、体にしびれとかは感じなった。

 どうやらうまく防御できたようだった。


 グレートライジングフィッシュの電撃攻撃をうまくいなした俺はさらにに敵へと接近する。


「キシャアア」


 近づいてきた俺に対して、グレートライジングフィッシュは突撃攻撃を敢行してくる。


「うほ」


 グレートライジングフィッシュの突撃は中々鋭いもので、地上とは勝手が違うこともあって避けるのがぎりぎり間に合った感じだった。


 しかもグレートライジングフィッシュのやつ、その巨体の割には小回りが利くようで、俺への攻撃に失敗してもすぐにクルッとUターンして、再び俺へと攻撃しよとしてくる。

 この攻撃をもしうまく避けたとしても、グレートライジングフィッシュはまた反転して攻撃してきて、以降その繰り返しになる可能性がある。


 そう感じた俺は攻撃を避けるのを止め、一気に決着をつけることにする。

 グレートライジングフィッシュの正面で剣を構え、敵が十分に近づいたところで必殺剣を放つ。


「『フルバースト 究極十字斬』」


★★★


 グレートライジングフィッシュ目掛けて俺の必殺剣が放たれた。


 水中で必殺剣を使用するのは初めてでどうなるのだろうかと思ったが、俺の必殺剣は順調にグレートライジングフィッシュへと迫って行き、ザシュという音とともに、頭から尻尾までグレートライジングフィッシュをきれいにスライスしてしまった。


 四つに分割されたグレートライジングフィッシュは、バラバラになりながら海底へと落ちて行った。

 それを見て、俺は慌ててヴィクトリアに命令する。


「そういえば、グレートライジングフィッシュって高く売れるんだっけ。ヴィクトリア、今すぐ回収だ!」

「ラジャーです!」


 俺の指令を受けてヴィクトリアがすぐさまグレートライジングフィッシュを回収する。

 海底に落ちつつあったグレートフィッシュの体があっという間に収納リングに吸い込まれて行き、きれいさっぱりなくなってしまう。


 これにて、グレートライジングフィッシュ討伐完了だ。


「それじゃあ、ヴィクトリア。ノーチラス号へ戻るぞ」

「はい」


 そして、俺たちはノーチラス号へと戻り、航海を再開するのだった。

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