第445話~潜水艇、完成!~
エリカのお父さんたちに素敵な旅行をプレゼントしてしばらくした頃。
「旦那様。実家の父から連絡です。魔道具工房に頼んでいた潜水艇が完成したそうです」
魔道具工房に頼んでいた潜水艇が完成したという報告を受けた。
そろそろ夏になるし、何とか期限内に完成したようだった。
完成した以上は受け取りに行かなければ。
そう思った俺は早速受け取りに行くことにする。
「よし!それじゃあ、ネイアも誘って明日にでも受け取りに行こうか?エリカ、ネイアと魔道具工房へそう連絡しておいてくれ」
「畏まりました」
ということで、急遽俺たちは潜水艇を受け取りに行くことにしたのであった。
★★★
翌日、家族を連れて俺はヒッグス家の魔道具工房へと向かった。
朝早くブレイブの町までネイアを迎えに行った後、家で朝食を食べてから出発だ。
朝食はパンと目玉焼きにハム、サラダといった割としっかりしたものを食べた。
何せ新品の潜水艇の受け取りだからな。
しっかりと食べて気合十分で受け取りたかった。
朝食だけでなく、服装の方も気合が入っていた。
嫁たちと銀はパーティーに行くのかと思うほどに派手な服装をバッチリと決めていたし、俺とホルスターもスーツを着させられて、ビシッと決めていた。
ここまで気合いを入れる必要があるのかと一瞬思ったが、ヴィクトリアが言うには。
「新車を受け取りに行くようなものですからね。気合いが入って当然ですよ」
とのことだった。
というか、新車って何よ。
そう思って聞くと。
「まあ、異世界で新品の自動車を受け取りに行くことなのですが。まあ、この世界で言うのなら新品の馬車を受け取る、と言ったところですかね」
ふむ。新品の馬車を受け取りに行くようなものか。。
確かに新品の馬車を受け取るのなら嬉しいという気持ちはわかる。
実際、俺たちも新品の潜水艇を受け取るのが嬉しくて、こうして朝からはしゃいでいるわけだし。
それはともかく準備はバッチリ整ったわけだし、潜水艇を受け取りに行くとしよう。
★★★
「パトリック、頼んだぞ」
「ブヒヒヒン」
朝早くからパトリックを走らせ家を出た俺たちは、
「『空間操作』」
魔法で一瞬でヒッグスタウンまで移動すると、一路魔道具工房へと向かった。
そして、そのまま受付へ向かうと、潜水艇を受け取りに来たことを伝える。
しばらく待っていると、責任者のレンブラントさんがやって来てニコニコ顔で歓迎してくれる。
「よくいらっしゃってくださいました。潜水艇の方は出来上がっていますぞ。こちらになります」
そう言いながら工房の方へ案内してくれる。
すると、そこには。
「おおおーー。これが新しい潜水艇か」
出来立てほやほやの潜水艇が、木製の台座の上に鎮座していた。
俺は早速その新品の潜水艇に近づき、べたべたと触ってみる。
その第一印象は。
「意外とひんやりとしているな」
ということだった。
というのも、潜水艇は基本木製なのだが、耐久性をあげるために表面をミスリルの板でコーティングしてあった。
だから潜水艇は全体が銀色に輝いていて、触ると金属の冷たさでひんやりと感じるのだった。
俺に続いて潜水艇に触った嫁やホルスターたちも。
「このひんやりとした冷たさ。夏にはちょうどいいですね」
と、その感触の虜となっていた。
さて、潜水艇の第一印象の話はこれくらいにして、潜水艇がどんなものかの説明をしようと思う。
潜水艇の大きさは全長二十メートル、全高五メートルと言ったところだった。
思ったよりも大きいような気がするが、うちの家族が乗ればいっぱいになりそうな気がしないでもない。
うん。ここは俺が後で魔法で中の空間を広げておくことにしよう。
それで、潜水艇の外見なのだが滅茶苦茶カッコいい!
何と言うか全体が円筒形になっていて細長くて、とても渋い形だった。
「異世界の潜水艦もこういう形をしていますから、こういう形が水中を進むのにちょうど良いのだと思います」
ヴィクトリアに話によると、他の世界でも潜水艇はこういう形なそうなので、ある意味理想の形に作ってくれたのだと思う。
さて、外見の話はこれくらいにして中身の話をしよう。
潜水艇は外見がカッコよかったのだが、もちろん中身もカッコよかった。
「なんというかSF映画でも見ている感じですね」
何かヴィクトリアが意味の分からないことを言っていたが、気持ちはなんとなくわかる。
SFとかいう言葉の響きにぴったりの内装だからだ。
まず艦橋の先頭部分に操縦桿があり、これを使って操縦する。
操舵悍の横には潜望鏡があり、これで外の様子を確認できたりする。
さらにこの潜水艇には最新の設備がついていた。
「これ、これ、これですよ。この装置が最新のものなんです。これを使うと周囲に音波を飛ばして水中でも進行方向に障害物がないかわかるのです」
そうレンブラントさんが装置について興奮気味に説明してくれた。
どうも水中のように前が見えにくい状況でも音で障害物の有無を判別してくれる装置のようだった。
「これはすごいです!さすがですね!」
聞いた俺の方も興奮し、何度もその装置を触っては使用感を試してみるのだった。
まあ内装についての様子は以上の通りなのだが、やはり当初の予想通り中は狭いので、俺が後で魔法で中の空間を広げておこうと思う。
さて、こんな感じで潜水艇の見学は一通り終わったので、次は潜水実験をしようと思う。
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