第440話~月へと続く遺跡 その7 五階・ボス戦 VS.ミスリルゴーレム~

 五階への扉の前から外の景色を覗くと、十メートル下くらいに月の大地が見えた。


「ようやくここまで来たか」


 どうやらゴールはもうすぐのようである。

 ということで、もうひと踏ん張り頑張ろうと思う。


★★★


 五階の入り口の扉をくぐると、四階の時のように扉があった。

 扉には月の紋章とともにドクロマークが描かれていた。


「なあ、ヴィクトリア。このドクロマークってどういう意味だと思う?」

「多分、ボス部屋という意味だと思います。おばあ……ルーナ様は茶目っ気成分多めの方なので」


 茶目っ気たっぷりね。

 まあ、しばらく一緒に暮らしたけどあの人そういう所確かにあったから、このマークもしゃれで描いたのだと思う。


 まあ、いい。

 ここを抜けないと先へ進めないのだから、さっさと先へ進むとしよう。


★★★


 と、部屋に入る前に一応いつもの儀式をしておく。


「ヴィクトリア、いつものやつを頼む」

「ラジャーです!」


 俺に頼まれたヴィクトリアが嬉しそうな表情で俺に近寄って来て、俺にキスをする。

 「シンイショウカンプログラムヲキドウシマス」といつもの声が聞こえ、神意召喚が起動する。


 正直な話、この遺跡の攻略のために神意召喚を」使うのは大袈裟だと思うが、今回は妹たちもいる。

 だから万が一のことを考えて使用したのだった。


 神意召喚が起動するなり俺は魔法を確認する。


『神属性魔法』

『神強化+8』

『天火+8』

『天凍+7』

『天雷+7』

『天爆+7』

『天土+7』

『天風+8』

『天罰+7』

『神獣召喚+7』

『神約+5』

『重力操作+7』

『魔法合成+7』

『地脈操作+5』

『空間操作+7』

『世界の知識+7』

『十戒+3』


 若干前回より数字が上がっているようだが、全体的に見るとそんなに変化はないようだった。

 新し魔法も増えていなかったしね。

 まあ、今回神意召喚を使ったのは妹たちのパーティーに万が一のことが無いようにするためだから、これで十分だと思う。


 さて、準備も整ったことだしボス戦と行こうと思う。


★★★


「ホルストさん、あの部屋の真ん中にある光っている岩の塊のようなものは何でしょうか?」


 ボス部屋に入るなり、部屋のど真ん中に何かがあるのに気がついたネイアが警告を発する。

 確かに部屋の真ん中にあんなものがあるのは怪しい。


「ちょっと様子を見てくる」


 俺が代表で様子を見ることにして、武器を構え、警戒しながら近づいて行く。

 すると。


「ウガアアア」


 突然、岩が咆哮をあげながら立ち上がると俺に襲い掛かって来た。


「何だ?」


 突然のことに驚きはしたものの、警戒していたこともあり、岩の攻撃を軽く受け流すと、大きく後ろに飛び、仲間の所へと戻る。


「『神強化』。『神眼』発動」


 そして、『神眼』を発動し、敵をじっくり観察すると、すぐさま敵の正体が判明した。


「ミスリルゴーレムか!皆、戦闘準備だ!」


 敵の正体を判別した俺は、そうやって仲間に戦闘指示を出すのだった。


★★★


「ウオオオオオ」


 後方へ下がった俺、いや俺たちに対してミスリルゴーレムはすぐに攻撃を仕掛けてくる。

 それを見た俺は早速行動を開始する。


「『極大化 神獣召喚 ヤマタノオロチ』、『聖域の守護者』発動」


 まず妹たちを守るために『聖域の守護者』も発動させ、態勢を万全に整える。

 ここまでしておけば、妹たちも安全だと思う。


 ということで、いざミスリルゴーレムと決戦だ!


★★★


 そうやって俺が準備を整えている間にもミスリルゴーレムはどんどんこちらへ向かって来る。

 どうやらこのミスリルゴーレム、かなり好戦的な性格に設定されているみたいだった。


 ともあれ、敵が向かって来ているのなら対処しなければならない。


「リネット!」

「任せて!」


 俺の指示でリネットが前へ出て、ミスリルゴーレムの前へ立ちはだかる。


「うおおおおお」

「ウガアアアアア」


 ミスリルゴーレムの太い腕とリネットの盾がぶつかり合い、ドゴオオオーンと激しい音が周囲に響き、衝撃波が周囲に走る。


 普通ならこの衝撃波だけで一般人なら生きてはいられないだろうが、そこはリネット。


「この程度でアタシをどうにかできると思った?」


 そう言いながら平気な顔で、斧で反撃を開始する。

 まあジャスティスの修業でリネットは尋常ではないくらいに強くなっているし、俺の『聖域の守護者』のバフもある。

 この程度の攻撃ではリネットにダメージを与える事は難しいと思う。


 逆にリネットに斧で反撃されて……。


「うりゃああ!『フルバースト 一撃両断』」

「ウギャアアアア」


 左腕を見事に切断されてしまった。

 この追撃のチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。


「みんな!リネットを援護しろ!『天爆』」

「『小爆破』」

「『金剛槍』」

「『武神昇天流 気弾』」


 俺たちが援護射撃を放ったのを見計らって、リネットが一時後退する。

 そこへ俺たちの援護射撃が次々に命中して行く。

 ドカン、ドカンと、何度も爆発音が響き空気を揺らす。


 そして、爆発が収まった時。


「お?ゴーレムのやつ、大分弱っているみたいだな」


 俺たちの攻撃を受けたミスリルゴーレムは全身に無数のひびが入り、かなりのダメージを受けている様子だった。

 そこへリネットが追撃を加える。


「行け!」


 大上段から斧を振り下ろすと、ミスリルゴーレムの左足を切断にかかる。

 既にダメージを受けているゴーレムの動きは鈍く、リネットの攻撃を避けることはできない。

 スパンと、あっさりとミスリルゴーレムは足を切断されると、仰向けに地面に倒れてしまう。


 そこへ俺がとどめを刺しに行く。


「『魔力感知』」


 魔力感知でミスリルゴーレムのコアを探り出すと、


「『フルバースト 一点突破』」


必殺剣で一気にミスリルゴーレムのコアを貫いてしまう。


「……」


 コアを破壊されたミスリルゴーレムは無言のまま動かなくなる。

 どうやらミスリルゴーレムを倒せたようだった。

 俺たちの完全勝利である。


★★★


「ミスリルゴーレムの体は良いお宝。高く売れてうれしいな~」


 戦闘終了後、ヴィクトリアが鼻歌を歌いながらミスリルゴーレムを回収している。

 倒したミスリルゴーレムの残骸は素材として高く売れるのでヴィクトリアが回収したのだった。


 ミスリルゴーレムの回収終了と同時に、ゴゴゴっと部屋の奥の方で音がする。

 そちらの方へ眼をやると、どうやら出口の扉が開いたようだった。


「これで、ようやくこの遺跡もクリアか」


 こうしてボスを倒したお絵たちは遺跡をクリアし、意気揚々と月へと向かうのだった。

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