第十四話 邂逅 ー弐ー
俺の呟いた声がYには聞こえていたらしく、Yが溜息をつく。
「仕事と割り切れないなら辞めればいい。あんたは復讐に捕らわれた死神のようだ」
「お前に何がわかるんだよ……」
「あんたは同類な気がしてな。私も復讐のために戦っているからな」
二人のやり取りをトリステーザは訝しむような顔で、マスターは複雑そうな顔で見つめてた。
ショーが終わり、大拍手に迎えられたルス・ソンブラは壁にある時計をちらりと見た。
「今日は素敵なステージを設けていただき、ありがとうございました。それでは皆様、引き続き夜の時間をお楽しみください」
そう締めくくったルス・ソンブラはSPを引き連れて店を後にした。
それを見送り、俺とYはコップを空にし、立ち上がった。
トリステーザは笑顔で手を振る。
「いってらっしゃーい。今日は私のおごりだからちゃんと帰ってくるんだぞ」
トリステーザの言葉を無視し、ルス・ソンブラの後を追う。
ルス・ソンブラは店の横の路地裏に入っていった。
そこには既に二人組の男が待っていた。
路地裏を覗いていると、俺はYに突然腕を掴まれた。
驚いて小声で声をかける。
「何を考えてるんだい? 邪魔するつもりなら──」
俺の声を遮るように、Yは仮面をずらし、俺に口移して飴を舐めさした。
一瞬何をされたのか分からず、驚いて固まっていると、Yは小声で笑った。
「ふふっ。安心しろ。私は男色ではない。それでも舐めて待ってろ」
暗がりにも男にしては色白で綺麗な肌と赤く潤った唇が仮面の下から覗いているのが見えた。
「あいつ……まさか、女かよ……まじかよ……」
頭を抱えて、俺は小さくため息をついた。
飴はほのかにミルクの味がするいちご味だった。
次の瞬間、男達のうめき声とルス・ソンブラの悲鳴が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます