第四話 尾行 ー参ー

「ごちそうさん。掃除は頼むぜ、マスター」

「いえ、いつもごひいきにしてくださり、ありがとうございます。追わなくて良いのですか?」


 マスターにそう聞かれ、俺は少し考えた後、銃をしまって肩をすくめた。


「そうさな、一般人に被害が出ても面倒だから、そろそろ行くかな。あ、次の客(ターゲット)の手配(エスコート)と仮面の男の情報、頼んだよ」


 マスターにそう伝え、ジュラルミンケースを持ち、ひらひらと手を振りながら酒場を後にした。


 酒場から出て、俺はサングラスの横のボタンを押した。

すると、俺の目の前に正方形のウィンドウが現れ、地図と二つの赤点が表示された。

赤点は二番地区と三番地区の境にある路地に向かって進んでいた。


「ああなるほど、もうそこまで行ったのね。鬼ごっこは嫌いじゃないよ」


 そう呟き、俺はウィンドウを閉じ、赤点の指す方向に足早に歩みを進めた。


 俺のサングラスは、いくつか機能があり、赤外線で見た者をマーキングし、追跡することができる。

追跡が可能な為、賞金首だけでなく、そいつのアジト等も割り出すことが可能だ。



 黒田望が賞金首の後を追っている頃、仮面をつけた黒ずくめの男は息を切らしながら三番地区に向かって必死に走っていた。


(急がないと、殺される──)


「見つけたぞ、クソがっ!!」

そう叫んだスキンヘッドの男は仮面をつけた黒ずくめの男にナイフを投げた。

仮面をつけた男は投げられたナイフを持っていたジュラルミンケースで叩き落とした。


「ちっ、待てこの野郎!!」

怒鳴りながらスキンヘッドの男はナイフを持って仮面をつけた男に飛び掛かった。


(まずい、避けれない──)


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