第二話 尾行 ー壱ー

「デセスペラシオン」一番の繁華街、二番区を俺は煙草を蒸しながら歩いている。

俺の名前は黒田望(くろだのぞむ)、二十八歳、「虚無の弾丸」一の賞金稼ぎだ。


 サングラスをかけ、右手に俺の銃(あいぼう)が入ったジュラルミンケースを携え、現在三人組の賞金首を尾行中だ。


ブーブーブー……ピッ


「虚無の弾丸」本部からの通信が入った。

「二番地区にホシがいる。人数は三人」

「──あいよ。」

通信を切り、煙草の火を消し、さっとスマホを取り出す。


「ったく、もう尾行中だっての」


 スマホの画面には、本部からの手配書情報と賞金首の位置情報が届いていた。

念のため情報を確認し、スマホを胸ポケットにしまった。


 しばらく行くと、尾行中の賞金首達は路地裏にある古びた酒場に入っていった。

「俺の銃(あいぼう)ちゃんの出番だねえ。さて、ぼちぼち仕事しますかね」


 後を追い酒場に入り、カウンターの席に座った。

聞き耳を立てながら、緊張を高め、呼吸を整え、静かにその時を待つ。


 ターゲットは三人。過激派武装グループに所属する幹部クラスだ。

三人は、酒場の奥の席に座っている仮面をつけた黒ずくめの男の元に行った。


 サングラスの横に付いているボタンをカチッと押す。

すると、赤外線で三人それぞれが隠している武器が見えた。

筋肉質なスキンヘッドの男はポケットにナイフを忍ばせており、金髪の髭面男と赤髪ロン毛の細身の男は銃を持っているようだった。


 カウンターの奥に座り、聞き耳を立てる。

「例のブツは持ってきたな」

「──もちろんだ。手に入れるのに苦労したんだぜ?」

「ブツを渡す前に金を先に渡してもらおうか」


 三人は仮面をつけた黒ずくめの男一人となにやら取引をしているようだった。

武器の売買は決められた機関以外では禁止されており、武器の違法取引が見つかった場合、即刻逮捕または処罰される。


ガタッ

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