ガラスの失楽園

紳士しんしたる栄光は燃え尽きる事なく、

このもろ白濁はくだくするろう硝子がらす

二つの交錯こうさくする点から赤い布をまとって放たれる。


鉄の型に溶けた蝋の硝子がまれば、

紳士はこのいんを押し付ける。


印のかげうすく延び、

冷えた熱の帯びる手腕を伸ばし

硝子に幾度のヒビと弾痕だんこんを作る。


われらは知る。

この硝子にならえど、

さるにわれらは罪の民、

等しくこれの崩れ行く様を見届けるのだと。

ヒトは知る。

めば散る灰汁あくを固めたこの世に、

知恵の魔物を落とした日より、

幾霜いくしもを廃疾の首輪を掛けて歩むのだと。

そしてわれらは今、おまえらをかてとしてこれをつづっているのだと。


われらは大蛇セイタンと共で、林檎酒片手におまえらを嗤おう。

ヒトわずらえど、人類われらめずと知りながら。

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