第3章、炎上の港町編――燃ゆる災禍に、その剣は輝く

第23話 白 ――プロローグ――


 自分の信じたものが間違っていたとしたら――

 自分の中の世界を根本から書き換えるような――

 崩し壊すような事柄に直面したとき、人は何を信じられるのだろう。


――迷いは命取りだ。


 だから俺は知らなければならない。

 自分が信じたものを真実にするためにも。

 世界という大きなものへ立ち向かわなければいかなくなったとき、その手に剣となる「こたえ」が必要になると信じて――


 エリンス・アークイルは白い空間を迷い彷徨さまよい『こたえ』を探す。


 かつて勇者が描いた軌跡、力を継ぐための場――通称『白の軌跡』。

 白が表すのは空虚な空白――ここは己の中の『白』と向き合うための、その場所だ。

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