第53話「氷のフリージアン」

…チュンチュン


朝になる環一行は新たに旅に出るためにオランの家から出る


「ではな環。これからも血漿族に負けるなよ」


「当然だ!私たちは負けない!」


環は胸をどんと叩いてオランに言う


「父上!」


後ろからフランが来た。何かあったのだろうか


「フランどうした?」


「父上。わたしも行きたい。だってわたしの拳が通用するか試したいから!」


そう言われてオランは驚く


「いや…お前は…」


「お願い!」


…父であるオランはため息をついて言った


「…わかった。環。この子もいいか?」


「ああいいぞ。よろしくなフラン」


環とフランは笑顔で握手した。これで5人め。きっと大きい力になるはずだ


「…どうかフランをよろしくな」


オランはちょっとさびしそうな顔をして言う



ココアから離れた環、ルーザ、マイルフィック、キリア、そしてフラン


次の目的地はガイアーク城だ。そこは大きい国になっているのだろう。楽しみだ


「ねーねー環お姉さんって水魔法凄いね」


「ううんそうでもないさ。あくまでもそれが使えるってだけ」


「そうでもないとは言い難いのよねえ…」


マイルフィックはぼそっと言った


「フラン。この道には血漿族の地帯はあるって知ってる?」


歩きながらフランは考えて言う


「うーん?わたしの話ではない気がするね」


そう言って全員は歩く。ほんとのどかすぎる道だ。嵐の前の静けさだろうか…


しばらく歩くとそれっぽい街が見えてきた。おそらく大きい街に違いない


門も見えてさあ城に入ろうと思ったら…おや?門が閉じていた


…いや!門が閉じている理由はすぐにわかった!血漿族だった!クリーチャーが門を壊そうとしていたのだ


「あ、あいつら!」


5人全員が接近してすぐに戦闘態勢に


「私の水で流す!」


久しぶりでもないがあの魔法を使うことにする


「水の力よ!メイルシュトローム!!」


どおおおおおお!!まだ気づいていなかったクリーチャーは一瞬にして巻き込まれる


「ぐわああああああ!!」


クリーチャーはやがて消える。よし!終わった!…と思ったら少しだけ残っていたのがわかる


「少し…頼んだみんな!」


残りのクリーチャーを迎撃する4人


「えい!」


まずはルーザの銃。クリーチャーの急所にあたり即撃沈


「実は爆破魔法って単体でも使えるのよ…ニュークリア!」


爆破の火球がクリーチャーに向けて突進し当たる!すぐに倒す


「ではアタシの糸を…!」


「わたしもやるよ!」


キリアとフランは接近して糸を引き、そして毒拳で一気にクリーチャーを引き裂いた!


クリーチャーの体は一瞬にしてやられて地に染まる。これでいいだろう


「…ということはどこかにあるのか地帯が?」


環は言うとあたりを見渡す


「うーん。どこにもないわね?」


ルーザもそうだが全員で見渡した。今のところそんなものはないようだった


ぎぃぃ…門が開いた音がした。そこにはたくさんの兵がいた。瞬時に血漿族を倒したので驚いた様子だった


「君たちは…いったい?」


兵の真ん中にいた歩兵がいた。すぐに環は反応して言う


「私たち神の紋章を持っていてな。こんなのが」


環はその兵たちに神の紋章を見せた。それを見て兵が全員おおっ…という声を上げる


「な、なんと…!これはすぐに王に知らせないと」


そう言うと一人歩兵のそばにいた魔術師なのだろうか、そんな人がいた


「これはすぐに王に知らせるべきです。案内してあげます」


フードを被っているが水色の髪色が見えて、厚着をした魔法使いという服をしている


その人に連れられて王の元へ行く環たち



王の間に到着した。ここで環たちは王の前にいた。王と言ってもまあまあ若い。王様のマントはある


「やあみんな。神の紋章があると聞いているぞ」


「ああ。王。こんなのがな」


さっき見せた神の紋章を再び王の間に見せていた環。周りの人は驚き、王はうんうんとうなずく


「なるほど。予言ではヴァルキュリア大陸のほうで神の紋章の少女がいたと聞いたが…君もそうか」


え?他にもいたのかその紋章を持っている人が?


「他の大陸のほうで…紋章を?」


「それは知らなかったわ」


「へ、へえ…いるんですか」


「ふうん?環お姉さんではなくて?」


環はなんとなくわかる。神の前でそういう人がいるというのを


「じゃあ…私は2番めってことなのか?」


王に伝わっているかどうかの声を出す環


「まあいい。私の名前はバンダ王。ま、王って呼んでくれたまえ。君たちを大歓迎する」


そう言って王は環たちをじっと見て言う


「元々父や母がいたんだがな…でも今は私が統治している。もし良かったら、ここを中心に血漿族を倒してほしい」


良いことだろう。環は喜んで言った


「もちろんさ!血漿族をぶちのめす!そんな旅をしてるんだ」


うんうん。王は再びうなずく


「なら。案内してやろう。フリージアン!君がこの街を案内しろ」


「はい。王さま」


横にいたフリージアンと呼ばれる魔法使いがそばに行く


「私、氷魔法使いのフリージアン。氷を使うのが得意です。どうぞよろしくお願いします」


先端にきれいな水色をした杖を持ってお辞儀をする


「よろしくなフリージアン!」


…もしかしたらこの人も…?そう思った環であった



『環…』


『フランと同様彼女も一人だ…』


『彼女の力も存分に使うがよい…』







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