第4話
明け方、もう一つのグループが立てていたテントから叫び声が聞こえた。
「なに!?」
僕らは驚いてテントから出る。
「どうしたんだ?」
「黒歴史に……黒歴史にやられた!」
見るとテントの中で一人放心状態になっている子がいた。ぶつぶつ何か言っている。
「……幼稚園のとき先生に告白してごめんなさい……ごめんなさい……」
「なんてこった。小さい頃の可愛い思い出まで黒歴史扱いにされてやがる」
大河くんが苦い顔をする。
「魔女の力は思った以上だな」
丈くんが頷いて呟く。
「どうしよう!こんな思い出さえ黒歴史にされちゃうんじゃ、わたしもう行けないよっ」
もう一個のグループの女の子が泣き叫んでいる。
「その状態じゃ、これ以上は行かないほうがいい。余計魔女のパワーを増やすことになりかねないからな。」
丈くんが冷静に言い放つ。
「うちのみんなは大丈夫か?ダメだったら無理はするな」
大河くんがみんなの様子を聞く。
「僕は大丈夫。ここまで来たからには行くよ。他の人がこんな風になっていくのこれ以上見過ごせない」
「私も大丈夫ですよ。むしろ魔女とはどういうものなのか見てみたくなりました」
「わっ……わたしも行く!わたしはスピードはあるから魔女の黒歴史を避けるし、撹乱させてみんなにその間にやっつけてもらうよ」
「よし、みんなで気をつけて向かうぞ」
用意をして魔女のいるとされる場所に向かう。
「にいな、大丈夫?」
行くと宣言したあの時少し震えてる気がした。
「大丈夫……何かあったら、平太が守ってくれるんでしょ?」
「もちろん」
僕がにいなを守ってあげたいのは仲間としてかな……ううん、多分それだけじゃない気がする。
目的地に到着すると、ものすごい禍々しい空気が流れていた。
これは……きっといる。
少し遠くから、黒いモヤみたいなものが飛んできた。
「これは……黒歴史だっ!みんな避けろっ。避けれなったら最大限ガードしろ!」
これが黒歴史……。くらったらヤバそうだ。
そして魔女がその姿を現した。黒い服を着た髪の長いこわい顔をした女。
「お前たちに黒歴史を食らわせて絶望の淵に落としてやろう。」
言い放つと魔女はたくさんの黒歴史のモヤをこっちに向けて飛ばしてきた。
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