10歳 5カ月 海外に本拠地があるってマジですか?

 2020年 8月〇日


 俺は色々あって【異上魔上】を壊滅させたと思った。思ったのだが、それは大きな間違いだった。

 まあ、何で大きな間違いだったかというと、今からおいおい説明していくわ。


 俺はいや、俺達は犯罪組織掃討作戦にて果てしない努力の果てに【異上魔上】を追い詰めて半分はキリリングゴーしつつも、もう半分を捕らえることが出来た。

 自分でも超絶頑張ったし良くやったと思う。


 そんで捕らえた組員の中の一番偉い奴を取り敢えず情報収集の為に洗脳する訳だ。

 といってもこの時はあくまで一応の洗脳だった。正直【異上魔上】はこれで壊滅したと思ってたし、他の犯罪組織も続々と壊滅させていっている。日本の犯罪発生率も下がってるし、麻薬類も出回らないようにしていけている。

 本当に一応の洗脳、精々、他に余罪はないかな?他に協力者とか共犯者はいないかなって感じの確認の洗脳だ。

  

 そうして発覚したのだが、どうやら【異上魔上】の本拠地は海外にある上に、俺が洗脳してる奴はあくまで【異上魔上】日本支部の責任者であり幹部の一人ってだけで、ボスはまた別にいて幹部も後99人くらいいるらしいっていう、多すぎるってバカかよっていう頭の中、ハッピーセットみたいなカオス極め切っている情報だった。


 そんでもって、その海外にある本拠地は一日~1か月というランダムな期間に場所が変わる仕組みとなっていて、場所が変わってから一部の幹部にのみその場所の通達がなされるらしい。

 で、俺が洗脳した時にはもう既に本拠地替えの時期で本拠地の場所は不明とのこと。徹底的過ぎてワロタですな。いやはやですよ。

 更に言えば、【異上魔上】は今回の一件で日本に手を出したら手痛いしっぺ返しを食らう可能性を考慮して日本支部の【異上魔上】を完全に切り捨てることを合意。

 日本以外の国で活動をする運びとなったらしい。もちろん、強大な力がついて日本支部を復活出来そうだったら復活させる算段はつけられていたけど。


 まあ、つまり、どういうことかというと。


 失敗したってことだ。


 いや、当初の目的は成功した。

 日本に巣くう犯罪組織をほとんど壊滅させて、【異上魔上】日本支部も潰して、暫くはこっちに手を出してこないというのも確認が取れた。ある意味で成功ではある。


 ただ、【異上魔上】という最低最悪の組織は残っているんだ。

 駄目だろ。

 クソ程面倒くさい。

 マジで馬鹿だと思う。ほんでもって【異上魔上】用心深過ぎるし、組織としても馬鹿でかいし、やってることは死ぬほど悪質だし。マジで最悪だ。


 ハア。まあいいや。


 正直俺よりも異能管理局の長の方が胃を痛めてたしね。

 それに極論を言えば世界最強である俺が危害を加えられるってことはないだろうし、家族への護衛としてヤミちゃんも置いているし。放置しても俺の生活にはそこまで問題はないと思うから、少々どうでもいいといったら、どうでもいいって思いはある。

 といっても俺の大好きなラノベ作家さんに迷惑がかかったり、この平穏が崩されるってのは許容できないけどね。

 だから、潰せそうだったら潰しますよもちろん。


 まあ、そんな嫌な情報を洗脳の結果得たわけだが、一個良かったことがあるとすれば、【異上魔上】の組織の情報を多少ではあるが手に入ったってことだ。

 これは結構大きい。情報がなしで挑むのと情報が有りで挑むってのでは大きく違うからな。

 俺は世界最強であり、たいていのことは力技でどうにか出来ると思っているが、それでも限度があると思うし、誰かを守る戦いってなったら、やっぱり情報はあるに越したことはない。

 知識は力だ。


 で、その肝心の情報なのだが、大まかに3つある。


 一つ目は【異上魔上】という組織のボスの容姿(中肉中背、俺みたいっていったらあれだが体は常に黒色のモヤモヤで覆われてるらしい)、その他99人いる残りの幹部の名前や異能に容姿。

 他、どの国に【異上魔上】という組織が侵食しているかについて。どれだけの人数がいると予想出来るか。まあ【異上魔上】関連の情報を色々だ。


 二つ目は麻薬の栽培場所(海外)や製造工場(海外)、取引場所(空港・港)等含む、密輸取引等に使用されていた場所だ。

 これはすぐに異能管理局と警察に教えて、大分犯罪者を捕まえることが出来た。

 ただ、海外の方は根本的な管轄が違うし、国際問題にもなるので手出しは出来ていない。


 三つ目は【異上魔上】という組織の目標・理念についてだ。

 これは凄くシンプルだった。

 この世界で最も優れているのは異能力者の魔法使いであり、無能力者共は全員自分達より劣っているから優れた自分たちが管理すべきである。


 以上。


 まあ、中々に中々な狂い具合だと思うし、普通によろしくない思想だ。

 そしてこの思想はあのヒトラーを連想させざるおえない。

 そんな思想を持って、それを理想として掲げて本気で実現しようとしている組織、それが【異上魔上】、そして、その為ならば文字通り何でもする組織が【異上魔上】であり、同じ異能力者や魔法使いには仲間意識を持つが、それが以外の非能力者に対してはこれでもかというレベルで差別的な意識を持つ、狂った組織、それが【異上魔上】だ。


 本気で俺のこの平穏で恵まれている豊かな生活の為にも【異上魔上】はどうにかしなければならないな。


 以上

 終わり。


――――――――――――――――


 補足説明

【異上魔上】の由来。

異能力者は上位の存在、魔法使いは上位の存在、これを縮めて【異上魔上】です。


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