2-7 少年少女と、大人たち
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「おっつ!」
「つめてっ…おう…サンキュ」
アフリカから急ピッチで帰宅?帰…なんだかは良くわかんないけど、こっち来てからずっと泊まってる、リリエッタさんが用意してくれた軍人さん達のマンションに、とりあえず砂漠から帰って来たあたし達。
戻って来るなり宗士はベットに突っ伏してたけど。
とりあえず首に冷えっ冷えのペットボトルの水当ててあげる。
「っ〜あぁ…本場フランスのヴォルヴィックは美味ぇなぁ…」
「それ脱げば?重くないの?」
「おぉ…身体動かん…」
「やっぱ…あのロボット疲れるんだ」
「疲れ…まぁオートバイ運転してる様なモンだから、嫌な疲れでは、ない」
…そだね。やりたくない事やってる、宗士の顔じゃなかった。
やりたい事、やってみたい事やってる、宗士の顔だ。
そうしなきゃならないじゃなくて、そうしたいって時の顔。
あの頃…テレビ齧り付きながらパリダカ見てた頃の、宗士だね。これは。
「なんだかんだ一週間もあっという間だったよね」
「あぁ…フリードリヒやリリエッタさんにシゴかれてる時は一日がクソ長かったけどな」
「でも…自然公園もでっかくて面白かったし、おばあちゃんのパエリアは美味しかったし、モロッコのお土産は可愛かったし…あと、基地のご飯は結構美味しかったし?」
「それな。日本食も一応あって良かった。コメは正直アレだが」
「そりゃウチらの地元と比べたらダメっしょー」
予想はちょっとはしてたけど、自由時間って程の時間は、この一週間殆ど無くて。
それこそリリエッタさんのおばあちゃんのお店が、一番観光らしかったかも。
でも基地のご飯は毎回バイキング…フランスだからビュッフェって言った方がいっか。だから、色んなモノ食べれたのは楽しかったな。
「つかお前見学してる時以外何処いたんだよ?」
「基地の中の薬局とか…えーせーへーさんのトコで…バイト?絆創膏とか分かんないと宗士キレそうだし」
「絆創膏は分かんなくても良い。ムヒとか虫刺され系でろくすっぽ効かなかったら最悪だ。痒みでキレ散らかす自信がある」
「それでちゃんと合ってたっしょ?まだ治って無いアタマのニキビ用クリームも」
「うっ……まぁな。ありがとうな」
「ん!」
ベッドに顔は突っ伏したまま、声だけの宗士。
相変わらず態度はちゃんとしてない…しないけど、言葉だけはちゃんと届けてくれる。逆もそう。両方が一緒の事とか、殆ど無い。
だけど、どっちかは本当に心からそう思って、口に出すか態度で示してるから、嘘は混じって無いって、良くわかるんだ。
「…ていうかさ」
「ん?」
「またあんなのと…てかロボットもだけど、ああいう事して、怖くないん?宗士」
あたしもベッドに腰掛けて、ぼすって音立てながら、呟く様に、訊いてみた。
宗士は、昔からスイッチ入ると気が短いし、喧嘩っ早い。て言っても、売られたら買うだけで、自分から吹っ掛けるみたいな事は、絶対にしない。いつだって、守る為。
守る為に…あんなに怒ってる。それで多分、怖さとかそういうの、どっかにやっちゃうんだろうけど。
「…初めてよ、オートバイ乗った時な」
「うん?」
「初めて乗って、アクセル開けて、走った時な」
「うん」
枕に突っ伏してるからくぐもった声だけど、明るい。
多分、嫌な話じゃない。ていうか、声が、優しい。
「頭…後ろに持ってかれて首千切れっかと思った」
「えっちょっ何の話してんだし「だから、今もそういう気分で楽しい。そんだけ」なんそれ…ホント意味分かんな過ぎてウケんだけど」
本当に、好きなモノの話だと、意味分かんないよね。嫌な事とか、自分の中でダメだと思う事には、テキトーな屁理屈こねくり回すクセに、好きなモノには、素直で、単純で…一途…だよね。
「ん…ヤバいクソ眠い…」
「ちょ宗士お風呂入っとけば?明日早いんしょ?」
「あ〜脱げねぇ。オフロードツナギ、固い」
「うわ…ガッチガチでビッチビチだもんねー」
「ダメだコレ、このまま寝るか」
「いや絶対風邪引くし。ほら早く脱げって〜」
なんとか背中からひん剥く様に引っ張るあたし。身体の中心からファスナー締めるタイプの服だから、肩から外すみたく取ってけば…。
「よい…しょっ!」
「おわっ!?」
「ふう…もう後は一人で脱げ「ユウコー、居るー?」っ!…えっ…リリエッタ…さん?」
「はっ!?マジかよ!?」
上が脱げて上半身裸になった所で、鍵開けっぱだったから入ってきたリリエッタさんに、出会しちゃった…あは…あははは…。
※
「ゴメンね。お邪魔だったかしら?」
「いやいや、なんかあたしこそすいませんっていうか!」
リリエッタさんに誘われて、基地の外に連れ出して貰った。良いのかな?って思ったけど、リリエッタさん的にも最後まで基地の中のは息苦し過ぎるって思ってくれたみたいで、特別って感じだ。
宗士は…まぁ多分、お風呂入って寝たかな?
「ちなみにその…ユウコはシュウジとセックスはする間柄かしら?」
「…………へっ!!!!????」
な、何をいきなり言うんだしリリエッタさんはさぁ…唐突にも程があるっしょ…気配ないのにいきなりエロい話するのはダメでしょ…。
「あぁ、ゴメンなさい。日本人は基本的にはしない…わよね」
「フランスの人ってするんですか…?」
「そうね。基本的には友愛や親愛でも、セックスをして愛を確かめ合う男女は多いわ。だからさっきも、身体重ねてから明日に臨むのかと思ってしまったのよ。ゴメンなさいね?」
な、なんか…凄いな…付き合って、エッチするとかじゃないんだ…。
いや確かに、そういうエッチしてる子も…居るけどさ…好きじゃなきゃ…あたしは…やだな。
「いやぁ〜タメになったんであざーっすって感じですよ〜アハハ…」
「ううん。私こそ不躾だったわ。ただ…この国だと信頼関係を結ぶ意味もあったりするから。貴女達の姿を見てね」
「っ…」
そっか…あたしと…宗士、リリエッタさんから見たら、そういう風に、信頼で繋がってるって、見えるんだ。
それはちょっと嬉しいかも。へへっ。
「……よし!じゃあ気分を切り替えて、今夜だけでパリを沢山教えてあげるわ!せっかく来たのだもの、女の子を手ぶらで帰らす訳にはいかないからね!」
「わっ!ありがとうございます!やった!」
「そう言えばこの流れてるのセーヌ川よ」
「えっ!コレ!?ヤバーい!」
「アレがノートルダム大聖堂に、もう少し先がルーヴル美術館よ」
「わ…マジであったん?って気になりますね…」
なんか、実際見ると実感湧かない…パリってかフランスは日が暮れるのめっちゃ遅いんだけど、それでもぼんやりと見える様な感じで、なんか頭に入って来ない。でも、本当にある。
先週から今日までの、あたし達みたいだ。
「パリは渦巻き型に二十の区に分かれてるの。この川を越えると中央の市街地に入るケド…《prrrrr!》此方オベールよ…えぇ!?この後?…ハイハイ。ハァ…ゴメンなさいユウコ。今日はウインドウショッピングは彼処の百貨店だけで勘弁して貰えるかしら」
「えっ?あっ勿論全っぜん!!てか行けるだけめっちゃ楽しみですって!」
「ありがとう。老舗だけどパリの最先端が集約されてるから、楽しめると思うわ。行きましょ!」
「ハーイ!!」
リリエッタさんのヒールの音が、軽くなった気がした。なんか、会った時から凄く強い女の人って感じで、それこそ宗士なんて女って呼び方で心の中で呼んでそうな人だけど。
でもこうやって見てると、普通のフランスの女の子なのかな?
「わーこのブーツめっちゃカワイイ!!」
「買いましょう」
「えっ!?(いくら…に、にじゅうにま…)」
「DIORのパリにしか無いリップ…」
「ユウコ、コッチの方が口元がナチュラルよ」
「ホントだ!コレもカワ「買いましょう!」へえっ!?」
なんて事も考えるの忘れる位に、リリエッタさんに沢山お店の中案内してもらった。てか案内って言うより…。
「ユウコ、コレ着てみなさい」
「リリエッタさんコレちょっとスリット多くない…?」
「大丈夫よ。ヒップラインの綺麗な貴女なら似合う。買いましょう」
殆ど試して買ってもらうだけなんだけど、迷い無く決めるのがカッコよくて、ついつい乗っかっちゃった。
そんな風に、自信満々に、可愛くておしゃれなお店、たくさん教えてもらったんだ。
中もやっぱり凄いキラキラしたつくりで、いかにもおとぎ話に出てきそうな、デパートなのにお城みたいなトコ。
でも、最先端っぽいのもいっぱいあって…うん、めっちゃ楽しい!
最後にカフェでお茶奢ってくれたリリエッタさん。百年以上歴史のある有名なカフェみたい。半個室っぽくて落ち着くなーココ。
「…ありがとうユウコ。付き合ってくれて」
「こっちこそめっちゃ感謝ですって!ていうか…こんなに買って貰っちゃって、ホントにありがとうございました!」
お店でプラチナ色のカード出てきた時は息止まっちゃったけど、それだけ凄い事してる人なんだもんね。
「このワンピースは…着てたら宗士怒りそうだけど…」
「ユウコ。男の為に着飾るなんて止めなさい。女は自分の格好は自分で決めるのよ」
「あっ実際は宗士別にあたしが何着てても何も言わないですよ?」
「そう…なの?露出が多い服でも着よう物なら、あの減らず口で文句垂れ流しそうな男に見えたけど…」
アハハ…初対面からリリエッタさんと宗士は空気めっちゃ悪かったからな…そう思っちゃうのは仕方ないよね。
「えっと…ココ、多分リリエッタさんも情報は知ってます…よね?」
「えぇ…大丈夫よ。男を守った優しい傷じゃない」
「そんな風に言われたの初めてです…リリエッタさん優しいなぁ」
「女の子の背中に傷がある位で騒ぐ方がバカなのよ」
少し背中のファスナー開けて、見せてみた。
でもリリエッタさんは顔色変えずに、寧ろあったかい目で見てくれた。言い切って、紅茶飲んで。カッコいいな。
「でも…宗士、ほっとけないんですよ」
「…でしょうね」
「だから…なんか言ってくる人から、直ぐ喧嘩買うんです。それで、もうその人達があたしに謝るまでボコボコにする事もあって…しかも歳とか関係なく大人相手でも直ぐに手ぇ出すんですよ。どんだけ殴られても、やり返す様な」
「でしょう…ね」
「その度に傷付いて、怒られて…でも、一度もスルーした事無いんです」
昔の記憶が、結構蘇って来た。いつだったかな。そうだ、中一のプールの授業で、長袖の水着忘れて、休もうと思ったけど、お腹痛いの多くて休み過ぎちゃったから出なきゃいけないって時、仕方ないからノースリーブので出たら、まぁ…やっぱ見られちゃって言われちゃって。
そしたら言ってきた男子だけじゃなくて、女子までプールに投げ飛ばしてたんだよね。流石にやり過ぎて、中学なのに停学になっちゃったんだよな、宗士。
「そしたらその内、あたしが言われる事より、宗士が怒る事の方が悲しくなっちゃって…それで、背中が出ちゃう服は、着なくなったんですよ」
「そういう事…か。少し、不思議だったのよ」
「?」
カップを置いて、腕を組みながら、外のセーヌ川を見るリリエッタさん。
でも目線は、それよりもっと遠くで。
「何であの子、モーターサイクル乗って戦ってる時になると、あんなにブチギレてんのかってね。どう見ても常識の外にいるエイリアンに、怖さとか一切見せないから、正直…見てて少し慄いたわ」
「…ですよねー…」
「ずーっと怒ってるのね、彼。守り切れなかった、自分に」
「…はい。だから…唯一好きって気持ちで強くいられるバイクで…パリダカで…戦わなきゃって思うと…絶対私がついてかなきゃって、そう思ったんですよ」
混ざって欲しくないモノ同士が、混ざっちゃった嫌な感じが、あの川での初めての戦いから、ずっと続いてる気がした。
だから、これ以上は、交じって欲しくない。
「リリエッタさん、あの」
「大丈夫。もしもの時は、貴女達は、何が何でも二人で日本に返すから」
「よろしく…お願いします」
膝に置いた手におでこが着く位、頭を下げた。
ーーーーーーーーーー
「…なんか寝れね」
リリエッタさんに面倒なお察しを受けたのを、アイツちゃんと解いてるだろうかと考えながら入った風呂上がり、時刻は二十一時。
まだ帰って来てないから先に寝るかと思いつつ、瞼閉じても全然寝付けなかった。
「…今日ぐらいもう一丁行くか」
適当な外着、アイツの言う所のクソダサ私服に着替えて、小走りで宿舎から基地へ向かった。
「…あれ、居ねぇ?」
格納庫Bブロック周りを伺う。コレまでなら守衛みたいなのがゲート脇に頑として立ち塞がってたから、近付き様が無かったんだが。
てっきり俺は、ロボットに変形する時以外は基本的にいつも通りのオートバイとして扱えると思ってた来仏初日。しかしテストという練習が終わるや否や、マシンは基地、遠征中は軍用トラック預かりになって、持出禁止になってた。
そりゃ機密も機密のオーバーテクノロジーロボットだけどよ…オッサンの鍵でなく、普通の鍵で乗る分には良くね?って思うんだがな。お役所仕事は何処の国も硬ぇわ。
「いねぇけどゲートが開くかが問題「なら大丈夫だ」そっかなら良かっ…ってオッ!!!…さん…?」
「今日まですまないな宗士君。最終日だから特別に開けておいて貰ったよ」
「マジっすか…」
昨日と同じくヌッて感じで背後から現れた、軍服姿のミレオのオッサン。
メタルボディだから体温で気配とか察せらんないのかもしれない。すっごいこえぇ。めっちゃニコニコしてっけど。
「マシンのメンテナンス、したいんだろう?」
「そっすね…まぁ、軍のプロい人等のメンテに比べたら、ハナクソレベルの素人メンテでしょうけど」
毎日毎回、俺のオートバイはフルオーバーホールレベルでメンテナンスされてた。エンジン下ろして、ネジ一本一本磨かれて、組み直し。手間と金の掛け方は段違いだ。でもそんだけしっかり見てくれるフランス軍の人達には有り難さしかない。
ただ…それでも。
「やっぱりスタート前は、一回俺の手で磨いておきたくて」
「…うん。そうだな」
ポケットから、日本から持って来たけど全く使ってなかったウエスを取り出す。気が合うのか、ミレオのオッサンもそれを出して。
「オートバイの一番のメンテナンスは清掃だからな」
「…っすね」
既に相当ピッカピカのマシンを、それでも上から丁寧に、少しオイルを染み込ませたウエスで拭って行く。
俺は右から、オッサンは左から。ていうかオッサンも、バイクじゃなくてオートバイ呼びなんだな。
「何で…ミレオさんはオートバイだったんだ?」
「そうだな…今の私のカタチとなる前は、我々の中にも独自のコミュニティはあった。その中ではやはり、空調機能の付いた四輪車が人気だったよ」
「AI状態でも暑い寒いあったんすね」
「それはそうだ。冷却は大事だからな」
ハハハと笑うオッサン。こうやって気を抜いて笑ってるこの人を見ると、この人も、宇宙人とかそういうの抜きにして、普通の気前の良いおっちゃんなんだなって思う。
「だが私が当てがわれたのは一台の日本メーカーオートバイのインテリジェンスだった。最初はなんだこの乗り物はと思ったよ。空調は無いし、車体の安定性は無い。内燃機関は四輪よりもけたたましいしな」
「…」
「だけどある時、あの、サハラの砂漠に出たんだ。そして普段以上に融通の効かない道を走った。本当なら止めたくもなる意志が芽生えそうな物だが…私には中々どうして、それが魅力的に見えてしまったんだよ」
「!…ミレオさん」
拭く手を止めて、此処から千キロ以上離れた、砂漠の方を見つめるこの人。その顔が…少し気恥ずかしかった。
なんせ、多分アイツが見てたら「宗士も似た様な顔してたよ?」なんて茶化しそうな位、同じ表情、したことある気がしたから。
「だから、今度は私自身が、私の意志で走りたいと思ってしまった。そうしたら…この身体が手に入ったんだ……っ……という話は、君にはすべきでは…なかったかな。申し訳ない」
「いや、いいっすよ。だって、自動運転の大黒柱してた人が、自動運転嫌になって本当の乗り物の乗り方したいなんて聞いたら、もう何も言えないって」
流石にもう、俺自身、七年前のあれが、奴等とは無関係ではない事位、勘付いてる。
だけどそれに、自分の責任を感じでしまう位、人間に…オートバイに、ライダーに気持ちをのめり込んでしまうのが、ミレオっていう、一人の宇宙人のオッサンなんだな。
「…ありがとう。宗士君」
「うす」
「そういえばだが…このマシンに名前はあるのか?」
「えっ?名前?」
急だなオッサン…いや、この人からしたら昔は身体の代わりのモノだったから、名前があっても然るべきって所だよな。
「そっすね…特に考えた事は無かったかな」
「エンジン形式からV 3とか!「それは直ぐ考えた事はありますね」流石日本の子だね…」
そうだよな…まぁ普通に考えたらブイスリーだよな。いや安直過ぎるけど。
でもエンジンはロボットモードでも原型がそのままの、唯一の場所だしな。
「因みにフランス語だとなんつーんすか?」
「Vはヴェ、三はトロワだね」
「ああ、バレェとかの」
じゃあヴェトロワ…うーんべったら漬けみたいだな。イマイチピンと来ない。
チラッとミレオさんの方を見ると、本気で悩みながら考えてる。俺のマシンの事に、自分の事みたく親身になりながら。
「じゃあ……アラビア語と合わせようか…ん、ヴェシュルトはどうだい?」
「どういう意味っすか?」
「フランス語で風のヴェント、三人のトリス。アラビア語で東という意味のシャルクの組み合わせ」
東から来た風の三人…?俺と…アイツと…このオートバイって…事か。
確かに、風の中にVの字も入ってて良いかも。
「でもなんでシャじゃなくてシュなんすか?」
「そりゃ、君の半身だもの」
「ああ…」
宗士のシュ…ね。昨日もだけど、本当に…人間味臭さが溢れ過ぎる人だよな。アンタ。
宇宙人と会話してる感覚、全然ねぇ。そんなに…好きになってくれたんだな。オートバイと、パリダカと…人間を。
ありがとう。ミレオさん。
「じゃあ、ヴェシュルトにします」
「良かった。それと…宗士君。明日は…言わずとも分かっているとは思うが、何より、君自身の為に走ってくれよな」
「…当たり前でしょ」
「なら、良い」
丁度お互い、クランクケースの下まで吹き上げて、黒くなったウエスを見た。一仕事終えたから、目を合わして、歯ぁ見せて笑った。
もう、準備は終わりだ。後は、走るだけだ。
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