第7話 過去、あるいは未来の邪神

第7話


(う〜ん、痛い………あれ、痛くない?)


確か、俺はまた車に轢かれて………


(ていうか、此処は何処だよ………)


凄く気持ち悪い場所だ。


黒いモヤに覆われ、全てが真っ黒だ。


それでいて、ちゃんと周囲の景色を見渡せるのが不思議だ。


それだけじゃない。


何か、具体的には言えないが、嫌な物を突き付けられている様なのだ。


それがかなり腹立たしくて、嫌な位に苛立ちを掻き立てさせられて。


ちょっとだけ頭が可笑しくなりそうだ。


『ふ〜ん、凄いね。この世界に入ってきて自分を見失わないなんて。』


なっ、誰だ!?


『あれ?そう言えば、昔にもこんなやり取りをした覚えがあるね。ああ、君とじゃないから安心してね。存在しない記憶案件とかじゃないよ?まぁ、平たく言えば君で言う未来のお話さ。』


其処には、大人の女性が居た。


まるで、女神の様で聖母の様な存在が居た。


いや、違う!


コイツは絶対に人間なんかじゃない!


もっと、だ!


『おいおい、失礼だなぁ。何処からどう見てもプリティーで可愛らしい経産婦だよ?』


はっ、経産婦云々はどうでも良いが、お前の何処に可愛らしさがあるんだよ?


お前にあるのは悍ましさだけだ!


『全く、どいつもこいつも。どうして、私を人間として認識しないんだろうね?あの化け物にすら、怪物扱いなんて可哀想な目に合ってるのにさ。』


と、本気で悲しんでいる様な姿を見せる化け物。


だが、その仕草一つ一つが気持ち悪い。


気味の悪さの塊だった。


間違いない、コイツはだ!


何に対してかは解らないが、そう直感が、脳が、本能がそう叫び続ける。


何でこんな事に………


『おっと、やっと本題に入れるね。君のリアクションが激しいから、ついついテンション上げちゃったよ。』

(人のせいにするな、この化け物が!)

『はいはい、そういうの聞き飽きてるから。じゃあ、始めるとしましょうか………あれ?あの子は?』


あの子?


それは一体誰の………


『僕の事だぜ♪』

(うおっ!?)


俺の後ろにいきなり声が響く。


思わず声を上げ飛び退き、振り向くと女の子が立っていた。


そして、この子も………


(き、気持ち悪い………)


コイツも、あの化け物と同じ位に気持ち悪い!


駄目だ、こいつ等に挟まれてると、吐きそうになってくる!


『フゥ~♪良いリアクションだね♪良さ過ぎて嫉妬しちまうよ!』

『煩いよ、妬み神。』

『黙れ、一般精神異常神。』


拝啓、涼菓。


俺はどうやら地獄に居る様です。


夢なら覚めてほしいなぁ………


『そりゃいつかは覚めるよ、夢だからね。』

『要するに、僕達が枕元に立った訳さ。』


コイツら、もしかして夢魔という奴か?


夢魔ってエッチい感じの奴だと思ってたが、裏切られた気分だよ!


『そんな事言われても私は人間で一人の母親だし………』

『全くだ。それに、僕はあんなゴミと一緒にされたくないよ………』


あれ、違うのか?


『って、君達のせいで本題へ未だに入れないじゃないか!』

『(人のせいにするな!!)』


ちっ、息が合ってしまった………


『はぁ、先ずは自己紹介からだ。ほら、厨二病神もちゃんとするんだよ?』

『あ゛あ゛?するに決まってるでしょ!私の名前はリヴァイア・エンヴィー。嫉妬の邪神さ。』

『で、私の名前は 。もとい、 さ。』

『ちなみに、傲慢の邪神だよ。』

『はいはい、そういうの良いから。』


………いや、訳が解らん。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る