第3話 再会

第3話


「まぁ、考えても仕方ないか。」


今の俺は弱々な子供だ。


どれだけ頑張ろうと、悩もうと無力な存在なのだ。


それなら………


「今を楽しむとしますかね………?」


そうと決めればどうしようか?


この位の年の頃、俺は一体………


「ゼロくん、そろそろ行かないと間に合わないわよ?」

「えっ、何に?」

「忘れたの?貴方、涼菓すずかちゃん達と遊ぶ約束してたのよ?」

「あっ、そうだった!行ってくる!」


そう言えば、毎日の様に公園で遊んでたな、この頃は………


いつもこんな感じで遅れてたせいで、よく怒られてたなぁ………


今思うと、可愛い怒り方だった気がする。


って、そんな事はどうでも良い!!


早く行かないと!!!


「ゼロくん、車には気を付けるのよ!気を付けないと人識くんみたいになるからね?」

「解ってる!」


当時は知らなかったけど、色々とあったらしいからな、あの人………


何か修羅場ってる時に事故死だから、何か面倒事が沢山起きたんだっけ?


従姉の真宵お姉ちゃんも会う度に、俺に対して『車には気を付けろ、悪女には気を付けろ。』と耳にタコが出来る位に言われた気がするよ………


でも、俺が死ぬ寸前位の頃は何か柔らかくなってた様な………


「はぁはぁ、この距離でコレかぁ………」


気が付くと、息を切らしながら公園に辿り着いた。


駄目だな、滅茶苦茶疲れる。


でも、スタミナが回復してる感じもする。


減るのも早いが治るのも早い。


懐かしい感覚だな、コレ………


「さて、涼菓ちゃん達は………」


周りを見渡して探そうとしていると………


「遅〜い!何で早く来ないの!」

「まぁまぁ、ゼロ君も色々あったんだと思うよ?」


と、そんな声が聞こえてくる。


ああ、懐かしい。


もう一人の声は何度も無駄に聞いてるので何の感慨も無いが、彼女の声を聞くとどうしようもなく泣きたくなる。


ああ、俺はまた会えるんだ。


俺は彼女に………


「久し振りだな、涼菓ちゃん。」


彼女の名は音無おとなし 涼菓。


俺の幼馴染であり、初恋の人。


俺の前で死んでしまった大切な子だ。


「久し振り?昨日会ったじゃない?」

「いや、此方の話さ。何して遊ぶ?」

「ふ〜ん、だったら、砂遊びしよう!私、お気に入りの砂掘りセットを持ってきたの♪」

「おお、凄いな!じゃあ、早速遊ぼうぜ!」


と、二人して砂場へと仲良く向かう。


ああ、これだよ。


懐かしい、マジで泣きそう………


「ちょっと!私の事を忘れてないです!?」


あっ、居たのかお前………


「あっ、ごめん。忘れてたわ。」

「あっ、ゼロくんとの砂遊びが楽しみすぎて忘れてた!ごめんね、影ちゃん。」


一応、コイツも俺の幼馴染な音無 影織かげおり


同い年で、涼菓の従妹だ。


逆行する前は長い付き合いで、俺の悪友みたいな女だ。


この時から煩いのな………


でも、何かキャラが違う様な………


………まぁ、影織だから良いか。


「じゃあ、皆で遊ぼうぜ。」

「そうね、楽しみましょう♪」

「二人して何も無かった感じにしないでくださります!?」


うん、このやり取りも懐かしいな。


続く

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