第4話 一縷の希望
最後の一通だけ感じの違うメールがありました。
「心の友探したい」
サブジェクトにそんな文字が入っていました。
本文にはなかなか宣伝では思いつかない内容が入っていました。
『いきなりきつい内容かもしれませんが
読んでくださるとうれしいです。
私、同性の人が好きなんです。……おかしいですか?
気持ち悪いです……か?
キモいとレッテルを貼られてしまうかもしれませんが、
これには訳があるのです。偏見を持っていない方、
私と友達になってもいいよという心の広い方募集します。』
出会い系メールにしてはやたらと丁寧だと感じたました。
心の友探したいってなんでしょうか。
そんな好奇心から返信しようと思い立ったのです。
もっと丁寧で長い文章にすることはできたけれど、
もし出会い系の策略だったら
真面目に返すのも馬鹿らしいという思いもあって
簡潔な文になりました。
「心の友ってどうゆう意味ですか?」
すぐに返信が来た。
「メール返してくれて有難う。
秘密って言っても風俗とか選んだ子たちの中じゃ
珍しい話じゃないんだろうけど。
気持ちの切り替えができないくらいショックを
うけるってひともいるかな。聞く?」
正直言って真面目に帰ってくるとは思わなかった。
彼女の話に興味が湧いた。
作り話でもよかった。
悪用されるのはアドレスくらい。
もう沢山の場所に流出してしまった個人情報だから、
いまさら警戒する必要を感じなかった。
私の周りにはそんな趣味があることを
公言しているような人はいなかった。
友達でも体を合わせる関係になると
想像することなんてとてもじゃないけれどできなかった。
学校内で「私は女だけど彼女が好きなんだ」
と公言しているカップルもいた。
でも周りの人間からは不思議な目で見られていた。
彼女たちカップルは周りの目線などには動じない。
彼女達は卒業まで付き合っていたらしいけれど
公言した上で長く続いていたカップルは例外なのだろうと思う。
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