第2話 異世界転生しました
「ねぇ、無視?おーい。」
自称神とか言う胡散臭い奴を無視していたら目の前で手を振ってきた。
「うーん、この状況が飲み込めないのかな?簡単に言うと君は死んだから私が君をここに引っ張ってきたんだ、どうわかった?」
(こいつの喋り方うざいな。)
と心の中で思う。
「酷い、そうやって個性を潰す言い方は友達なくすよ、まぁ君は友達いなかったみたいだけど。」
(人の心を読むな。)
口で喋ろうとしたら声が出なかった。
どうやらここは考えることしか出来ないみたいだ。
「だって、そっちの方が楽でしょ、それより君随分おもしろい人生送ってたみたいだね。」
そう言って自称神は紙のようなものを取り出した。
「あ、これ?これはね君の人生が書かれてるんだ、君が生まれてから死ぬまでの一生でなにがあったのかが。」
そう言ってその紙で扇ぐ。
「例えば、生まれた時の体重は三千三百十一キロ、身長は五十センチ、生まれてから少しは両親から期待されていたが五歳の時になにも才能がないということで両親は弟に重きを置いた。」
身長、体重はわからないけどその後はあっている。
「その後は君は家では基本放置、弟が才能の塊だったから君は必要なくなった、でももしかしたらなにか才能があるかもとその歳までは家に置いていたけどついに追い出された。」
あの紙に書いてあることはほんとのことらしい。
(じゃあ、学校でのことも書いてあんのか?)
「ん?あるよ、こっちもすごいよね、小学三年と六年、中学二年と今回の高校二年のクラスで君をいじめてた人を軽いので不登校、酷いので警察送りにしてるんだよね、しかも君自分でいじめをさせてたんだよね。」
そう、俺は気に入らない奴に俺をいじめさせてそれを使ってそいつを貶めていた、今回のように。
「今回なんかわざと気弱なフリしていじめを誘ったんでしょ。」
(フリじゃなく気弱なんだよ。)
「いやいや、君、狙って僕モード使ってたじゃん。」
俺は家では僕他では俺で話している。
でも今回は僕の方が立ち回りが楽だから僕でやっていた。
気弱で人を信じる僕と、気の強い人間不信の俺その二つを使って俺は生きてきた。
「そんなことより君どうやって死んだの?それだけは書いてないんだよね、絶対に殴られたからじゃないよね。」
あの時のことはよく覚えていない。
なにかに頼んだ気がするけどなにに頼んだかが思い出せない。
「それに君入院してたって書いてあるけどこれ意識別のところにあったよね、この時もなにも書いてないんだよね。」
俺が入院してた時は寝てたからなにも覚えてない、医者の説明ではなぜ生きているかわからない状態だったそうだ。
「事故の内容は書いてあるんだよ、君が中学の時に不登校にさせた子が階段から押したと、だけどそれは事故扱いでその子はお咎めなし、君不運だよね。」
その時のことは覚えている、確かに後ろから押された感覚はあった、でもそれは誰にも言ってない、どうせ信じてもらえないから。
「まぁいいや、そんな不運な君にちょっとお願いがあるんだよね。」
(なんで不運な俺に頼むんだよ。)
ご褒美とかならまだわかるがお願いは意味がわからない。
「まぁまぁ話だけでも、実はね私が作った世界があるんだけどその世界って勇者と魔王がいるんだよね、だけど勇者が封印されて魔王が暴れてるみたいなんだよ、だから勇者の封印を解いて魔王を止めてほしいんだよね。」
想像を超えるめんどくささだった。
(なんで、お前がなんとかしないんだよ。)
この自称神が作った世界なら自分でなんとかすればいい。
「私は干渉できないんだよ、うんしょうがない。」
(じゃあしらん勝手にしろ。)
俺には関係ないことだ。
「いやいや、いいの異世界転生だよ、それにこのままただ死んだら君をいじめさせられてた奴ら大喜びだよ、それよりかは異世界転生して自分は楽しんだ方がよくない?」
確かにそうだが口車に乗ったみたいでなんか嫌だ。
(もしも勇者の封印を解いたらその後はどうなるんだ?)
その後にまた別の世界をどうにかしてくれなんて言われたらめんどくさいのでやりたくない。
「その後は自由にしてくれていいよ、スローライフしても、君が魔王になって世界を征服しても滅ぼしてもいいよ、勇者が魔王を倒した時点でその世界の役目は終わるから。」
(なんでそんなに勇者に魔王を倒させたい?)
正直意味がわからない、こういう場合俺に魔王を倒す依頼を出すのがセオリーだ、なのに勇者にこだわる理由がわからない。
「実はねその勇者の子、魔王を倒さないと自由になれないんだよ、勇者の聖剣を引き抜いたがばっかりに勇者にされて、魔王を倒すまでその子に自由はないんだよ、だから。」
さっきまでとは裏腹にしおらしくなる。
(だからなんでその子に肩入れをするんだよ。)
いくら自分の作った世界だからといっても一人に肩入れしすぎだ。
むしろ、他の人も大事にするものじゃないのか。
「あんまり言いたくないんだけどその子も転生者なんだよ、しかも君とは違って紛れ込んじゃったんだよ、なんでかはわからないけど紛れ込んだみたいで。」
(要はお前のミスの後始末を俺にさせるって訳か。)
めんどくさいが確かにこのまま死んでも味気ない。
(いいぞやってやる、転生ボーナスみたいなのあんのか?)
異世界転生と言えば最初から固有のスキルを持っていたり、身体能力が優れていたりというのがあるのが定番だ。
「感謝する、もちろんあるぞ、その前にスキルの説明をする。スキルは常時発動しているスキルで例えるなら毒無効なら毒が効かないってことだ。」
言葉のニュアンスでなんとなくはわかるがとりあえず全部聞く。
「まぁいいそれより君のスキルね、普通スキルってのは稀にしかつかないんだけど君は特別に一つ選んでいいよ、もしかしたら元から持ってるかもしれないけど。」
そう言って一枚の紙を渡してきた。
それを見ると紙の中の文字が次々と変わっていく。
どうやらこの原理があるから手に持つサイズの紙で俺の人生が見れたらしい。
俺は持っている紙に目を通す、なぜか一目で全て頭に入ってくる。
「どう、決まった?」
一応全部は見終わったがこれから選ぶところで言われた腹が立ったので無視する。
選ぶスキルの候補はキズの自動回復か精神攻撃無効かSP回復高速化が候補にあがっている。
単純に強いのを選んだだけだが。
もう一度スキルの確認をする。
一つ気になるスキルがある、『自然体』言葉の意味はわかるけどどうなるかがわからない。
スキルの説明は、『常に自分であり続ける』と、よく意味がわからない。
だけど気に入ってしまったからこれにする。
(決まった。)
寝転がってだらけている自称神に声をかける。
「お、やっとか、えーと『自然体』ね、また地味なのを。」
確かに地味だけどなんとなくこれがいいと思ったからしょうがない。
「まぁいいや、じゃあ次はステータスね、なにを強くしたいとかある?さすがに初期ステータスカンストとかは出来ないよ。」
さすがにそこまでは求めてない、つまらないし。
(現代っ子だから剣で斬るとかは出来ないから魔法ぶっぱしたいから魔力高めで。)
ステータスはHP 筋力 魔力 防御力 素早さ、があるらしい。
「わかった、後なにか聞きたいことある?」
(もちろんあっちの常識は俺の知ってる常識とは違うよな。)
異世界なら今までの常識は通じないはずだ。
「うん違うよ、それは自分で知っていって、正直私もわからないから。」
自分の作った世界なのになにもわかってないようだ。
「他はある?」
(ない。)
どうせ聞いてもなにも知らないだろうし。
「じゃあこれで決めるのは終わり、後は転生させて終わり。」
(わかった。)
自称神が近づいてきて俺の頭に手を置いた。
「じゃあね。」
その言葉を最後にして俺は浮遊感に襲われる。
(これが転移って感覚なのか?)
そして次の瞬間周りの世界が変わった。
一面森、どうやら人がいないところを選んだようだ。
と思ったら、目の前にかわいいねこの亜人がいた。
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