前世で人間不信になった僕は転生先で俺を信じる奴隷〈なかま〉と一緒に気に入らない奴を処分することにしました
とりあえず 鳴
第1話 人間不信になりました
珍しい名前ということでいじられることがある。
歳が十八で高二だ。
高一の夏に事故に遭い一年入院していてた、その間目を覚まさず何も出来なかったそして留年した。
そんなこともあり僕はクラスの人達からいじめを受けていた。
最初は歳のことや名前をいじる程度だったから僕愛想笑いで返していた、そしたら僕を下に見ていじりがいじめに変わった。
初めは悪口だった、僕のことを陰気や地味なやつと聞こえるように話していた。
そのぐらいなら無視をすればよかったから無視していた。
そしたら今度は教科書を隠すなどのことをしてきた。
それもすぐにわかる場所に置いてあったから無視し続けた。
そして今は僕をいじめから守ってくれている人達に呼び出された。
「勝君さぁ最近いじめ受けてるでしょ大丈夫?なにかあれば俺達が相談乗るよ。」
僕は細貝 珠なので貝と珠でかいしゅうと読んで勝海舟から名前を取って勝と呼ばれている。
「大丈夫だよ、別に大したことはされてないから。」
今ここに居る三人は僕が悪口を言われた時に悪口を言っていた人達を止めていた。
教科書もこの三人が見つけてくれた。
「そう、なにかあったら言ってね俺達は勝君の味方だから。」
そう言って三人は帰っていった。
「僕も帰ろう。」
そうして僕も家に帰った。
「ただいま。」
誰もいない家に僕の声がこだまする。
うちは両親と僕と弟の四人家族だ、弟は僕と違って優秀だからいつも両親と一緒にどこかに行っている。
僕は入院していたこともあり家では邪魔者扱いされている、それだけではないけど。
だから僕は基本家では一人だ、ご飯も用意されないから自分で買ってこないといけない。
前にキッチンを使ったら母親に怒られた。
それからは毎月食費と言ってお金を貰うようになった。
なので帰りに買ってきたおにぎりを持って自分の部屋へ行く。
夜遅くに物音がした、両親と弟が帰ってきたようだ。
僕には関わってこないから関係ないけど。
すると、僕の部屋の方に向かって足音がする。
「珠、来い。」
弟が僕を呼ぶ。
「なに?」
「いいから来い。」
有無を言わせずといった感じで睨んでくる。
渋々ついて行く。
リビングに着くと両親が座っていた。
「座れ。」
父親が顎で椅子をさす。
僕はその椅子に座る。
「お前、この家を出ろもう必要がない。」
僕が椅子に座ると父親がいきなりそんなことを言う。
「え、なんで?」
言ってる意味がわからなかった、確かに僕はこの家にとっては邪魔なんだろうけどいきなりすぎる。
「言ったろもう必要がない、今まではまだ使える可能性があったから家に置いておいたけどもういい。」
どうやら弟が立派になったから保険の僕はいらないということらしい。
「出てくってどこに?」
「最後だからなアパートぐらいは用意してやる、後はバイトでもして自分で勝手にやれ。」
父親はそれで話は終わりという感じで席を立つ。
母親の方を見るとどうでもよさそうにしている。
弟に至ってはそもそもいない。
「明日出て行けばいいから今日はいてもいいぞ。」
父親がリビングを出る直前にこちらを向きもせず言ってくる。
そしてリビングを出ていった。
僕は呆然とする。
確かに邪魔者という自覚はあったけどそれでも家族だからと少し期待をしていた。
でも結局は。
「はは、いらないか。」
そのまま少しの間動けなかった。
僕はなんとか部屋に戻りベッドに倒れ込む。
「どうしようかな。」
明日からのことを考えながら目を瞑り眠りにつく。
『ほんと甘いな、俺がなんとかしようか?』
僕の声が聞こえる。
「誰?」
『お前は知らなくていいんだよ、どうせ俺とお前は一緒にはいられないんだから。』
どこか懐かしいような初めて聞くような不思議な感じがする。
『まぁいいや俺に任せとけよ、お前の気に食わない奴ら俺がどうにかしてやるよ。』
「やめろ。」
それだけは駄目な気がして言葉が強くなる。
『はっ、少しはいい声出せんじゃねぇか。』
よくわからない声の人が少し上機嫌になる。
『どっちにしろお前が認めないと俺はなにも出来ないし見させてもらうよ、どうすんのか。』
なんとなく声の人がいなくなった気がする。
「僕は。」
そこで目を覚ます。
「夢か。」
妙にリアルな夢だった。
「約束?したしなんとかしようかな。」
そう決意して部屋を出る。
リビングに向かうと両親と弟がいた。
いつもはこの時間はもういないのになぜか全員いる。
「どうしたの?みんなして。」
「今日はお前が出ていく日だからなみんなでお祝いしてるんだよ。」
父親が嬉しそうに答える。
「そう、今日の夜はもっと豪華にするの。」
母親もとても喜んでいる。
「…。」
弟は我関せずといった感じで朝食を食べている。
「ここまでかな。」
「ん、なにか言ったか?」
父親が不思議そうな顔をしている。
「父さん、いいこと教えてあげるよ、母さん他の男と浮気してるよ。」
「なに、家を追い出されるからって復讐のつもり?そんなの証拠ないでしょ。」
母親が言い訳をするが無視する。
「ちなみに父さんは色んなところでお金使ってるせいで今借金がすごいことになってるよ。」
「な、お前冗談にも程があるぞ。」
父親が慌てて否定する。
「証拠ほしい?」
父親と母親に優しく聞く。
「そんなものある訳ないだろ。」
「そうよ、あるなら出しなさいよ。」
二人ともとても焦っている。
「じゃあこれ。」
俺はスマホを出して数枚の写真を見せる。
母親が父親とは違う男とホテルから出てくる写真や、父親の通帳の写真。
「な、なにこれほんとに借金してるじゃない。」
母親が父親に怒鳴る。
「お前こそほんとに浮気してるじゃないか。」
父親も母親に怒鳴る。
二人は言い合いを始めた。
「ごちそうさま、ちょい。」
朝食を食べ終えた弟が俺を呼ぶ。
「これでよかったか?」
「最高、さすが珠。」
弟が無表情で俺を褒める。
さっきの写真は全部弟から送られてきたものだ。
今朝スマホを見たら写真が送られてきていた。
『これあげるから自由に使っていいよ』
というメッセージとともに。
「なんで俺に送ってきた?自分でやればよかったろ。」
別にわざわざ俺にやらせる必要はない、むしろ自分でやった方が楽だ。
「ああ、だってこれで全部珠のせいにしてあの二人を俺の手玉に取ろうかと。」
つまり弟に上手く使われたってことか。
「まぁいいや、俺にはもう関係ないし。」
これからこの家がどうなろうと俺には関係ない。
「ほんと最後に役立ってくれたよ、じゃあな。」
そう言って弟はリビングに戻って行った。
「少しは期待したんだけどな。」
そして俺は学校へ向かった。
教室に着くと俺の机に落書きがされていた。
「勝君大丈夫?まったく酷いことするよね。」
俺の味方をする三人が近づいてきた。
「別にいいよ、こんな幼稚なことされてわざわざ怒るとかやった奴と同じに思われるから。」
三人の方を見ると顔をしかめている。
「そうだよね、これやったの誰?」
三人の内の真ん中の奴がクラスの人に言う。
一人明らかに挙動がおかしい人がいる。
「もしかして、君かな。」
その男子に三人の内のもう一人が声をかける。
「いや、その。」
近づいた奴が耳打ちをする。
「はい、やりました。」
近づかれた男子がやったことを認めた。
「まったく最低だな、勝君の教科書隠したのもあいつじゃないのか?」
三人の内の最後の一人がそんなことを言う。
「勝君あいつどうする?」
真ん中にいる奴が俺に聞いてくる。
「やってることが幼稚すぎてどうするもなにもないだろ。」
悪口や教科書を隠す、それと机に落書きなんて別に気にする程のことでもない。
「よかったな許されて。」
近づいていった奴が犯人扱いの男子に少しキレながら言う。
「ん、ちがうぞ?お前らを許してやってるんだけど。」
「は?なに言ってんの、俺達は勝君をずっと守ってきたじゃん。」
真ん中の奴が焦りながら言ってくる。
「?いや、お前らが指示してたろ、教科書はお前らがやったみたいだけど。」
悪口を言わせたのも、今回の一件も全部この三人がやらせたことだ、その証拠に。
「ほら。」
スマホを見せる。
そこには三人が俺の教科書を隠す動画が流れている。
「な、なんで、あの時誰もいなかったろ。」
「犯人が認めたからこの話は終わり。」
俺はスマホをしまう。
「ちょっと待て、それだって俺らが命令された可能性だってあるだろ。」
(可能性って時点で認めてるのと同じだろ。)
「めんどくさいな、誰がお前らに命令すんだよ、ここに連れてくれば。」
こいつらはこのクラスのピラミッドの一番上だ、だからこいつらに命令出来る奴なんていない。
「あーくそ、せっかくのいいおもちゃだったのに、バレたならしょうがないよなこれからはこんな生ぬるいのじゃ許さないからな。」
「例えばどんな?」
相当にキレているらしい、目が血走っている。
「まずはサンドバッグになってもらう、それから服を脱がして写真を撮ってそれを学校中に流してやるよ。」
「そうか、残念だけどそれが出来るかはわからないけどな。」
俺はスマホをまた出す。
「なんだよ。」
「わからない?録音、ここの学校がまともなところならお前らはどうなるかな?」
別に実際にやった訳でもないから注意程度で終わるだろうけど、それでも少しは大人しくなるだろう。
「ふざけんな。」
真ん中の奴が俺に殴りかかってきた。
「おい、やめろ。」
「さすがにやばい。」
周りの二人が止めに入る。
「これだけコケにされて黙ってられるかよ。」
完全に頭に血が上っているようだ。
何度も俺の顔を殴る。
(単純でほんと助かるよ。)
俺はなんの抵抗もせずに受け続ける。
「おい、なにしてるんだ。」
担任が教室に来たようだ。
別にこの担任に期待はしていない。
この担任はいじめを黙認するタイプの教師なので多分なにも出来ない。
「うるせぇ、なにも出来ない奴は黙ってろ。」
その一言でほんとに黙る。
(さっさと怒れる奴連れてこいよ。)
「あれ、やばいよね。」
「さすがに死ぬことはないよな。」
なんてクラスの奴らがコソコソと言い出した。
(もういいや、飽きたから終わりにしてくれ。)
『わかった、どっちがいい?今殴ってる奴を殺してから死ぬのと、さっさと死ぬの。』
頭の中に俺と同じ声が聞こえる。
なんでこいつに声をかけたのかはわからない、けどそれが最善だと思った。
(俺がただ死ぬ方で。)
もう正直この世界に飽きた。
『じゃあ次の世界でまた会おう。』
そこで意識が切れた。
なにも感じない、漂っている感じだ。
でもどこか懐かしい感じがする。
そして俺は白い空間で目を覚ます。
「やぁ、君が私の担当かな?まぁそれしかないんだけど、私は神、名前とかは特にないから神って読んでくれていいよ。」
目を覚ますと白い空間で自称神に話しかけられた。
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