ともだち

実玖

結局、友達は難しい。

友達なんて山ほどいるけど、誰も友達なんかじゃない。みたいな。

友達といる時の私は、道化だ。

素の自分を演じて、自分の役割を果たす。

会話を途絶えさせない、ひたすら話す実玖。

多少失礼でも許してくれる幼なじみの実玖。

テンプレ通り、いつも通りの空気を作る実玖。

私のままの私は誰にも求められないから。

思うがまま、役割を無視してアドリブで生きてたら、だめ。与えられた台本通りの動きをしないと、そのうち演じる役さえ無くなる。

「おはよー！」

後ろから急に話しかけられて、振り返ると部活の友達のりさとみおがいた。

「りさ、みお、おはよう！今日雨なのに部活とかだるくない？！」

自分のセリフを見失わないように。

やっぱり、人間って難しい。