妹の嫉妬
最近、まともに話していなかった妹の舞からスマホを見せてほしいと頼まれた俺。
さて、どうしたものか?
「わかったよ。ほら」
俺は舞にスマホを渡す。
「ありがとう…」
受け取ってすぐに操作し始める舞。履歴をチェックするつもりか。
俺はスマホのロック画面に、暗証番号を設定していない。
誰かに見せる・渡すことを想定していないからだ。
仮にスマホを落としたとしても、変なサイトを観ていないから恥ずかしくないが、
登録している人の個人情報があるから、なくさないように意識はしている。
「ねぇ…、この『椎名さん』って女の人だよね?」
舞はSNSの友達一覧にある『椎名さん』の部分を見せてきた。
「そうだよ。俺のクラスメートさ」
隣の席の女子だ。何故か連絡先を訊いてきたんだよな~。
数回しか連絡してないから、舞に怪しまれることはないはず。
「クラスメート? ふ~ん」
舞の返事からして、納得してないだろうな。
「でもさ、椎名さん以外は全員男の人しか登録してないよね? 本当にクラスメートなの?」
俺はフルネームか名字+くん・さんで登録している。
なので相手が男か女かは、舞でも予想できるだろう。
まさか、椎名さんを彼女とか思ってないよな?
「嘘はついてないって。椎名さんはフレンドリーな性格だから、俺と連絡先を交換しただけ。俺はモテないんだよ。舞だって知ってるだろ?」
「兄さんがモテない? そんなはずない。捨て猫にエサをあげる優しい兄さんがモテないはずがないよ。…ねぇ、登録してある名前をごまかしてない?」
そこから疑うのかよ。舞の奴、なんでこんなに変わってしまったんだ?
俺から見たら、病んでるようにしか見えないぞ。
「ごまかしてない。神に誓っても良い」
「…そこまで言うなら信じてあげる。これからもスマホを見せてね。もし暗証番号を設定して、私が見られないようにしたら…」
何する気なんだ? 尾行でもされるんじゃないか?
考えるだけでも怖いので、承諾しよう。
「わかったよ。たださ、親の前で言うのは止めてくれよ。いくら兄妹でも、スマホを見せ合うのは、不自然だからな」
「うん。…そういえば兄さん。ご飯の準備中だったね。ゆっくりしてて。私は日課の兄さんのパソコンの履歴チェックをするから…」
舞は俺にスマホを返した後、2階に戻っていった。
そんなこと言われたら、落ち着いて朝昼兼用予定の朝食を食べられないぞ。
このまま舞に監視され続けるのはゴメンだ。対策を考えなければ。
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