最終日

「みなさんおはようございます、現在のペアは残り3組となりました。最終日ですので、午後9時になりましたらスタッフが部屋の鍵をお開けします」


慎二と美菜子は抱き合ったまま目覚めた。そして初めてキスをし、舌を絡め合った。それはお互いにとって気持ちが通じ合ったという印にもなった。


「美菜子、この部屋での最後の食事だ、豪華なものにしろ」

「はい、頑張らせていただきます、慎二様」


とは言っても、調味料も食材も限られている。美菜子はペスカトーレを作った。

慎二は無言でそれを食すと、皿を片付けようとする美菜子を引き留め、ベッドに押し倒した。


「美菜子、最後の俺への奉仕だ」

「は、はい、慎二様」


いつもと様子が違う慎二に戸惑いつつ、美菜子は口と手を使って奉仕した。


慎二はというと、その間、ずっと泣いていた。

(今夜で美菜子さんと離れ離れになってしまうのか……)

そんなことを思いながら。


「慎二様、慎二様、ご気分が悪いようでしたら無理せずとも……」


美菜子は堪らず声をかけた。


「美菜子……ここを出たら結婚しないか」

「慎二様……!?」


ここまで辛い奴隷の役割を演じてくれて、自分の肉欲を満たしてくれて、愛していると昨晩言い合った仲だ、きっと美菜子も同じ気持ちでいてくれるだろうと信じたのだ。

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