2日目

朝目覚めると、昨日出会ったばかりの人間が裸で隣に寝ていたのでお互い驚いた。当然だが、緊張のあまり慎二は射精ができず、美菜子も恥ずかしさのあまり何も感じられず、お互い疲れ切って眠ったのだった。


お馴染みの放送だ。

「みなさんおはようございます。一夜を共に過ごしたペアの相手とは親交は深まりましたでしょうか、それとも、既に脱落をご希望のペアの方々はいらっしゃいますでしょうか。もし、自分が“肉奴隷”として、“管理者”としてそぐわないとお思いでしたら、壁にある非常用ボタンを2人同時に押してくださいね……」


慎二と美菜子は顔を見合わせた。

「「押しますか……?」」


明らかにこの2人にはエロ漫画で見るような肉奴隷と管理者なんて向いていなかったのだ、そう2人は思っていた。いや、相手に対して、自分の役割が果たせると思えなかったのだ。


「いや、まずモニターを確認しましょう!」

バスローブ1枚を羽織り、美菜子はモニターの前の壁に移動した。


一夜明けて、別室のペアは想像を絶するものとなっていた。女を奴隷として扱おうと痛めつけ、身体中アザだらけにしてまで性行為を強要している男が多かったのだ。モニターからは音声は聞こえないが、美菜子はおぞましい景色から目を背けた。

(私は、北嶋さんとペアになって恵まれていたんだ……)

そう思った。


慎二もモニターを見て思った。

(そこまでして相手を支配したいのか?)

わからなかった。でも、脱落した後の刑罰を美菜子に受けさせるわけにはいかないと、そう思っていた。


今度は美菜子から話し始めた。

「これは、きっと何か趣味の悪い人たちが考えたゲームです。北嶋さん、7日間乗り切って無事にここを出ましょう」

「はい……おそらくここで管理者として役割を演じるべきは俺です。浅田さんは奴隷のふりをして乗り切ってください。もちろん、毎日“条件”を満たさなければならないので、その負担はすみません」


そんな会話をした後から、2人は奴隷と管理者としての役割を演じ始めたのだ。


「美菜子、食事を持ってこい」

「はい、慎二様」


「美菜子、残りは食っていいぞ」

「ありがとうございます、慎二様」


「身体を清めてこい、美菜子、そのあと、俺の身体を洗え」

「はい、慎二様」


「美菜子、俺の上に跨がれ、奉仕しろ」

「はい……慎二様」


その夜の行為は2人にとっては演技のつもりだった。しかし、お互いに相手を刑罰にあわせたくない、そんな思いやる気持ちが噛み合っていたことで、微かに情を感じ取っていた。


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