1日の終わり

その日はお互いを気遣い、食料の数を確認し、順番に入浴した。

ふとモニターを眺めると、素っ裸の男女のペアが増えていた。肉欲を満たし満たされ、女には食事も与えず部屋の隅に転がしている部屋もある。正にこの企画に沿った行動ではあるのだろう。

美菜子は口を開いた。

「北嶋さんは私を奴隷にしたいと思いますか」

慎二は答える。

「いや、俺は暇なだけでこの企画に参加したんだ。奴隷なんていらないんです」


夜21時を過ぎた頃、放送が鳴り響く。


「みなさんこんばんは、部屋のお二人は肉奴隷と管理者としての役割を果たしていますか?モニターで監視していますので、条件を満たさないペアから脱落していきますからね。脱落したペアには刑罰がございますので、行動の選択は慎重に」


美菜子はビクッと震えた。初対面の男性に管理されるというのは、どういう感覚なのだろうか、それとも奴隷と管理者の条件とはなんなのだろうか。

同じく慎二も覚悟を決めかねていた。ほぼ同い年の、同じ都内に住む初対面の女性だ。何をして良いのかわからない。そして、刑罰とは。


放送は続く。

「肉奴隷と管理者の条件は、“肉欲を満たし合うこと”、ひとつのみです。それではみなさん良い夜を」


自己紹介や趣味の話をしていたが、さすがに2人は無言となる。


ここは男性から声をかけるべきではないのか、慎二は口を開く。

「浅田さん……俺の奴隷になってください」

美菜子は答える。

「はい……よろしくお願い致します、北嶋さん」


緊張した状態で2人でベッドに入る。そして、避妊具を着け、性行為に及んだのだった。

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