出会い
俺は、別に奴隷なんて必要とはしていなかった。
私は、別に奴隷になりたかったわけではなかった。
黒服に案内された部屋には大きなベッドがひとつ、お風呂場がひとつ、壁のフックにはいかにも奴隷に使うような鞭やロープや首輪やチェーンなどが吊るされている。その他、食料や生活用品など、家電まで、1週間は生きられそうなくらいの設備が整えられていた。
そして、入ってきたドアを振り返ると。大量のモニターに別ペアたちの部屋の様子が映し出されていた。
「では、ご健闘をお祈り致します。次私がこの部屋に来るのは7日後です。失礼致します」
「……!!」
ガチャっと音がして、外から鍵を閉められる。
「「待って!!」」
もう鍵はかかってしまった。目の前の男・女とここで1週間過ごさなければいけないのだろう。
「「…………」」
暫し無言の時間が続く。その間にも俺・私はモニターの別室の様子を確認していた。中には肉欲を満たさせるために女の服を乱暴に剥ぎ、掴みかかっている男たちもいる。俺・私たちのようにじっとモニターを眺めているペアが半数くらいだろうか。3分の1くらいは相手と仲良くなろうと会話をしているようだ。残りはペアの相手と顔も合わさず部屋の隅と隅で頭を抱えている。2時間くらいモニターを眺めて過ごした。
俺は・私は、ペアの相手の名前くらいは知っておこうと声をかけた。
「「あの、お名前を、」」
自分たちは同じタイミングで話し始めたことで緊張が緩み、ふふっと笑った。
「俺は
「私は
「「ありがとうございます」」
自己紹介のタイミングが合っただけで安堵と相手への感謝が湧き出してくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます