第97話「工場攻城戦5」

【同日 14時27分 富野産業工業地帯 工場3F】


3つめの部屋に踏み込んだ時、僕らは二人の抱き合う少女を発見した。

部屋の奥で──ゾンビに囲まれながら。


少女A 「大丈夫……大丈夫ゃからな……沙南」

少女B 「ぅぅ……ほんと……大丈夫ゃの?」

少女A 「ぁぁ……お姉ちゃんが……最後までぉるからな……」


今まさに──殺されそうな、状態で。


   「やめろぉぉぉッ!!!」


思考するより先に駆け出す僕だったが──、


   「あぐぁッ……」


ゾンビに情けなくも突き飛ばされてしまう。


礼音 「サンくんッ! 無茶をするなッ!」

綴 「くそったれがッ……許さない」


倒れこむ僕の介抱を礼音さんが始めると同時に、

女性陣はゾンビへと攻撃を開始した。



■■─────────バトル────────■■


ゾンビ 「うごぉ……」


最後のゾンビが倒れ伏し、遂に僕らは二人の生存者の無事を確保した。


アド 「大丈夫かい少女ちゃんたち!」

少女A 「……ぇ……え?」

   「驚かなくていいし、もう怯えなくていいよ。僕らは、君の味方だから」


挙動不審に震える二人の頭を撫でながら、僕は静かに微笑んだ。


礼音 「矢継ぎ早で申し訳ないが、取り敢えず急いで工場外まで逃げよう」

   「ええ、そうですね……」


僕らはひとまず工場の外へと移動した。

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