第76話「大事な質問」

アド 「ねぇねぇ、サンちゃん」

  「なんだよ。お漏らし豚」

アド 「今日は踏んだり蹴ったりだよ! 違くてですよ、本当に大事なお話が──」

  「そんなことよりさ、『踏んだり蹴ったり』って言葉って変だよな。状況的に見て『踏まれたり蹴られたり』のが正しいだろ」

アド 「あたしとの会話ってその議題以下?!」

栗子 「はっ、小便小娘との会話じゃ仕方ねぇよなサン」

  「ああ姫片。『替えの下着を取りに戻る』なんて騒ぎ出す奴と、よもや会話が成立するとは思えない」

栗子 「はっ、ちげぇねぇな」

アド 「あるぇ……? 徐々にサンちゃんのが信頼を得ているぞぉ……」

礼音 「ほらほら、進行方向のゾンビを排除するぞ」

  「で、アド。大事な話ってなんだよ」

アド 「え? ……聞いてくれるぞ?」

  「そりゃ、大事な話なんだろ。聞くよ」

アド 「サンちゃん……お主……」


お漏らし豚は瞳を輝かせ喜んだ。


アド 「あのねのね! サンちゃん好きな食べ物ってなんぞ? ──あ、ごめん、すいませんとりあえずその拳銃を閉まっては頂けないでしょうかかかかかアド汁ぷしゃー」

  「……はぁ。ペトラ橋直前で、なにくだらない質問してんだっての」

アド 「うぅ……大事なお話なのにぃ」

  「答えてやるよ、甘い目玉焼きだよ。どうだ、満足か?」

アド 「……」

  「……ど、うしたんだよ」

アド 「……え? あ、家庭的な趣向だなと思いまして」

  「貴様のための料理係はやらんぞ」


くだらない会話もそこそこに、遂に僕らは辿り着いた。

未開の地へと繋がる、掛け橋へ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る