第73話「素直」
綴 「しかし本島調査だなんて、アドさんの行動力にはお見逸れいたしますわ。支えるサン様は気苦労を思うと、胸が痛いですけれど」
「アドを責めないでやってくれ、甘噛」
綴 「責めないで、と申しますと?」
「此の作戦に限ってはだけど、アドが言い出さなきゃ僕から提案する予定だったんだ」
綴 「そうなんですの?」
「アドが宣言したようにさ、僕らは渚輪ニュータウンに滞留し続けるべきじゃない。そりゃポートラルは居心地がいいし、デパートは生活設備に事欠かない」
けど、その生活はあまりに刹那的で、芳墨に揺蕩う羽虫の如く。
いずれ溺れて、 黒に染まった世界で己と世界の境界線さえ認知できなくなる日が────必ず来る。
「けど、僕らは把握しなければいけない。感染のことも、極東大日本がどうなってるのかも、延命策じゃなく、打開策を考案するためにも」
綴 「……。……けど……いえ、ならサン様は」
ゾンビ 『ゴォォゥ』
礼音 「おいッ! 看板の陰にゾンビがいるぞ!」
綴 「サン様ッ! 危ないッ!」
■■─────────バトル────────■■
綴 「サン様ッ、お怪我はありませんですの?!」
「……っと、大丈夫……。ありがとう甘噛。ゾンビが怖くてしかたがないんじゃなかったのか?」
綴 「サン様もお人が悪い……ええ、怖いですわよ。けどサン様がいなくなってしまわれる方が、わたくしはもっと怖いのです」
「……甘噛。やっぱお前はすげぇよ」
どっかのだれかと違ってな、とは言わない。
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