第66話「鹿狩作戦2」

【同日 15時50分 渚輪ニュータウン 榎林ヶ丘林内】



   「あっちだっ……あっちに……追い詰めるぞ鹿ぁッ!」

ひさぎ 「全然追いついてないですけどなにか」

  「来栖崎……はぁ……はぁ……眺めているなら……手伝ってくれよ」

ひさぎ 「断、固、拒否」

遠くのブザー 『ビー、ビビビ―』


  「ま、まずいぞ来栖崎……また鹿が……こっちにくる」

ひさぎ 「へぇ、そう」

  「三頭……くる!」

ひさぎ 「三頭?!」



■■─────────バトル────────■■



   「くそぅ……鹿狩が……こんな体力使うとは…………もうだめ……走れない……計算外……」

ひさぎ 「ふん、それでも男かよ」

  「……はぁ……はぁ。……ふつ……普通の男だよ」

ひさぎ 「へぇ、真司の爪の垢でも煎じて飲むといいわよ」

  「来栖崎……」

ひさぎ 「なに」

  「僕の……代わりにふ……笛を……吹いてくれないか?」

ひさぎ 「はぁ?! なんで私が……あ、アンタの使用済みホイッスルを咥えなきゃなんないのよ」


使用済みって言うなよ。


   「リズムは、ひゅ、ひゅー、で良い……対岸の百喰に伝わるから……」

ひさぎ 「ちょ、話進めないでよ。絶対にいや」

   「いいのか来栖崎……」

ひさぎ 「なによ……」

  「皆から……肉の恨みを買うぞ」

ひさぎ 「……」

  「肉の恨みを……買うんだぞ」


数秒後、榎林ヶ丘に笛の高音が響き渡った。

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