第67話「鹿狩作戦3」
【同日 16時00分 渚輪ニュータウン 榎林ヶ丘林内】
アド 「おーい、サンちゃんッ! 元気カーイ! バテバテじゃねぇかい!」
鹿狩もいよいよ佳境。
陣形も狭まり、遂に一つ隣を担当していたアドとは視認できる距離にまで近づいた。
生い茂る木々の隙間から、こっちに手をふるアドが見える。
「よし……来栖崎、ヒュヒューヒュ、だ。勢子(せこ)総出で一気に陣形を狭める……プレッシャーを掛ける」
ひさぎ 「……なんであたしが」
悪態つきながらも来栖崎は指示通りに笛を吹いた。
陣に巻き込まれた鹿は4頭。内1頭でも狩れれば御の字である。
「皆ッ、半径15mまで狭めるぞッ!」
■■─────────バトル────────■■
鹿は逃げ場をなくし、遂に立ち往生する──
「礼音さんッ!」
僕は──遠方の木に両足でぶら下がり矢を番える女性の名を叫ぶ。
礼音 「心得ている──」
枝々を躱し、間隙を裂いた矢は──
1頭の鹿の脳天を、狂いなくぶち抜いた。
鹿 「キャアアアアアア!」
百喰 「んッ、女の悲鳴が聞こえますよ?!」
「違う、鹿の鳴き声だッ。興奮して突撃してくるから気をつけろ!」
鹿 「キャアアアアアア!!」
興奮した鹿が1頭、小柄な豹藤ちゃん目掛けて襲いかかった。
やちる 「きゃんっ」
礼音 「按ずるな──」
豹藤へ跳びかかった鹿は脳天に矢を受け崩れ落ちる。
栗子 「15mはあるぞ……人間サーカスかよ……礼姉……」
「もう二頭で十分だ! 残りの二頭は陣形の外に逃していい!」
陣形に敢えて隙間を許し、僕らは生きてる鹿を陣形の外へと追い出した。
鹿 「キャアアアアアアアア」
栗子 「何度聞いても女の悲鳴だよな……」
アド 「ふふふ、なにはともあれだよ皆のしゅー……肉は我らが──」
アド 「──勝利の旗本にっ……」
アドの勝鬨を聞くや、少女たちはアマゾネスも真っ青な雄叫びをあげた。
「……」
みんなよかったね、お肉ゲットである。
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