第59話「旅のしおり」

【同日 14時10分 渚輪ニュータウン 垓三町】



綴   「サン様。わたくしたちは今どちらにお肉を狩りに向かっているのですか?」

  「説明してやるからその前に腕に絡みつくのをやめてくれ甘噛」

綴   「で、どちらにお肉を狩りにゆきますの?」

  「……」

礼音 「人工林『榎林ヶ丘』で狩るそうだ。ちゃんと作戦資料に書いてあったぞ」

  「礼音さん……」


僕は礼音さんの優しさに涙した。


綴   「わ、私だって熟読いたしましたわよ」

  「へー」

綴   「サンさまがお認めになられた一字一句、噛みしめるように拝跪閲覧させて頂きましたもの」


それはそれで嫌だな


   「ほー。じゃあ資料の213ページの見出しは?」

綴   「へ?」

綴   「……ああ、サン様、わたくし、難しいことを考えると知恵熱が、ぴとり」

礼音 「『非必須アミノ酸の有用性』私も読みが甘くてな、違ったかな?」

  「礼音さん……」


僕は礼音さんの優しさに涙した。

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