第51話「裁きの時」

【同日 9時40分 デパートB1F 地下倉庫】


いかにも怪しげな人影 「(ばくばく、むしゃむしゃ)」


   「完全にビンゴだな。一心不乱に食べてやがるよ」

ひさぎ 「うざ。私らみんな我慢してるってのに……ぶち殺し決定よ」

  「ダメだから、待てって。穏便にって豹藤ちゃんに言われただろ」

ひさぎ 「穏便にぶち殺すだけよ」

  「穏便を辞書で引いてから再チャレンジしような」

ひさぎ 「……。……引いてくるし」

  「待て待て、『物事をかど立てず穏やかに行うこと』だよ」

ひさぎ 「……かど立てず穏やかにぶち殺す」


貴様は忍者の末裔か。


   「それにさ来栖崎、考えてみれば体型や体質によって摂取基準量なんて違うわけだし、」

  「等分配給じゃケアしきれない面もあったんだろうさ。今後、食料配給形態を根底から見直し再発を防ぐように僕も務める。だからとにかく穏便に、今日は優しく注意して終わろう」

ひさぎ 「まぁ……勝手にどうぞ」


僕らはこっそり、音を立てないようにその子に近寄った。

そしてコンテナの物陰をのぞき込むと、


アド 「むぉ?!」


アドがいた。

一心不乱にお菓子を食い漁る、アドビチグソ野郎がいた。


アド 「さ、ささ、サンちゃん……ここここここれはそのですね、」

アド 「り、理由がですね……」


さて。

豹藤ちゃんとも約束したし、穏便に済ませなければならないな。


   「おい、来栖崎」

ひさぎ 「なに?」

  「穏便に──ぶち殺せ」

ひさぎ 「命令すんな。そのつもりよ」



■■─────────バトル────────■■



アド 「ちッ! ここじゃ分が悪いな、場所を変えるぜ挑戦者よ!」

  「逃げやがるだと?! しかもRPGのボスみたいな捨て台詞残して!」

ひさぎ 「……掻っ捌く」

  「ああ、完全に同意だ。捕らえてふん縛って、素っ裸で宙吊りにして屋上に晒して」

ひさぎ 「そして殺す」

   「……。……お前ネット大好きだろ」

ひさぎ 「……」


しかも100年前のネタが好きらしい。

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