第48話「転生の丘」

【同日 18時43分 コスモリアランド】


   「……告白だよ」

アド 「……告白?」

  「なぁアド、来栖崎から聞いてないか?」

アド 「えっと、何が」

  「その彼が、いや、来栖崎からかもしれないけど──告白した場所だよ」


幼なじみが恋人へと、変わった丘。

悲しみが喜びに、生まれ変わった丘だ。


アド 「…………夕陽見の丘。……うん、そう! 夕陽見の丘だよ!」

  「女子トークバンザイだな、本当に」


僕は急ぎテーマパークの地図を確認し、目的地を見定めた。


   「礼音さんッ! 北西の夕陽見の丘に向かいます!」

礼音 「ああ、心得た!」



■■─────────バトル────────■■



少女はいた。


   「来栖崎……」


未だ声も届かぬ遠い距離。

だが確かに、ゾンビの死体が山積みになった丘に、

揺蕩うように少女は立っていた。



礼音 「サンくん」

   「はい」

礼音 「ここから先は手助けはできない。此処から先に、私たちが踏み込める権利はとうに無い。私たちが出来るのは君を──ここまで運ぶことだけだ」

  「はい。本当に、ありがとうございました」


僕は息を吸い込み、少女が佇む丘へと歩き出す。


   「必ず連れ戻します」


そう言い残し。

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