第34話「産声」

謎の悲鳴 「きゃあああああああああああああああ!」

突如、上階から悲鳴が響き渡る。


   「な?!」

アド 「今の聞いた?!」

礼音 「ああ、女性の悲鳴、しかも上階からだ」

栗子 「ゾンビを上階へ撃ち漏らしちまったか?!」

  「とにかく急ごうッ、行けば分かる!」


【同日 15時25分 デパート4F 仮設医務室】


四階に辿り着くや、僕らは悲鳴の理由に直面した。


アド 「ヒサギン……?」

??? 「がぅぅぅっぅぅぅ゛ッ!」


来栖崎ひさぎが、一匹いた。


やいと 「ぁ……だずげ」


両手でやいとさんの首を──圧し折らんが勢いで握りしめ、

殺さんとする来栖崎の姿が。


礼音 「疵が……ふさがっているだと」

栗子 「髪が白い……てか目が……」


躰の腐敗こそしていないものの、その眼はまさしく感染者特有の赤色。

牙をむき出しで唸る姿は辛うじて『来栖崎』だと判断できるレベルだった。


やいと 「ぁ゛……ぉぉ゛ぅ゛」


やいとは泣きながら必死に藻掻いているが失神寸前。

既に失禁し白目を剥いている。


百喰 「やはり……感染は治ってないんじゃないですか……」

百喰 「だから私はッ!」

礼音 「責めている場合じゃない! 助けるのが先決だろう!」

  「む、無力化で頼むッ! 僕の血をもう一度飲ましてみるからッ! 殺さないでくれ!!」

礼音 「手心を加えられる余裕があれば是非もないッ!」

ひさぎ 「がぅぅぁッ!?」



■■─────────バトル────────■■



栗子 「っしゃ、組み伏せたぞおらッ!」

礼音 「数人がかりで……やっとだがな」


礼音、豹藤、姫片、百喰の四人がかりでようやく、来栖崎を組みふすことに成功した。

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