第11話「最高のスパイス」

【同日 11時40分 渚輪ニュータウン ダイワ中華街】


僕らは中華料理屋が立ち並ぶレストラン街に差し掛かった。


  「なぁ、食料調達ってもしかして、レストランの食料庫から盗むのか?」

アド 「む。盗むってのは人聞きが悪いけど、」

アド 「でも残念。そんな安易な食料は最初の一週間で全部なくなっちまったぜ…… ぐぬぬ、無念」

  「奪い合ったのか?」

アド 「ご名答だぜ、若人」

アド 「あたしはもうやだよ、あんな7日間を過ごすのはさ」

アド 「二度とね」


アドの表情に微かな憂いが漂い、 僕はそれ以上の言及を断念した。


ゾンビ 「ウゴォォォ」

アド 「おっと。食い足りない子が現れなすったぜ」



■■─────────バトル────────■■



  「なぁアド。念のために食材庫は漁らなくてもいいのか?」

  「食糧が全部なくてもさ、 例えば長期保存に役立つスパイスとか有るかもしれないし」

アド 「ふっふふー、新入りくん。ないよ」

アド 「粉一つ、ないんだよ」

  「……」

アド 「ささ、時間も差し迫ってるし先に進むよ―! アイワナ邁進―!」

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