第6話「生存組合」
【同日 14時25分 渚輪ニュータウン 中央町】
「なぁ。樽神名」
アド 「アド、でいいよ。 なんだい?」
「ならアド。 他の生存者たちは何処にいいるんだ」
アド 「んー島のあちこちだぜ!」
アド 「《生存組合》っちゅー、生きとし生ける少女たちが手を取りあい、睦まじく暮らす組織が無数にあるのよん」
「なるほどな、」
「政府権力が瓦解しても、集落化することでギリギリ秩序立ってるのか」
アド 「およ、やっぱ記憶喪失の割には理解早いね」
アド 「もしかして君、元は賢い系の人だったりー?」
「どうだろうな……」
「まぁつまり、『ユートピア』ってのはアドたちが所属する《生存組合》の拠点ってわけだ」
アド 「『勘の鋭いガキは嫌い……』じゃないぜッ……!」
アドは神妙な演技のまま片目をつむってみせた。
ゾンビ 「ウォンォン゛」
ひさぎ 「だぁからッ! 教訓って言葉を知ってんのか阿呆女ッ!」
絶賛演技中のアドの死角から、ゾンビが襲いかかる。
■■─────────バトル────────■■
アド 「さぁ! 我らが生存組合本部はもうすぐそこぞ! 全軍勇んで前進じゃー」
レジャー施設街を抜け、大通りを歩むこと数分。
僕らは遂に目的地に到達した。
アド 「よよーい、アジト目視距離まで到達しましたぜ皆のしゅー」
「大型……デパート?」
アド 「そ! 『大人も子供も皆ハッピネス』が謳い文句(キャッチフレーズ)の大型デパート」
アド 「我らが生存組合『ポートラル』の本部にてござりまするぜ!」
「……なるほど、デパートで暮らしてるのか」
非常に悪くない発想だ。備品においても構造においても、理想的といえる。
アド 「ふっふふー、『ポートラル』へようこそだぜ少年!」
アドは僕らの前へ走り出て、くるり、と振り返る。
アド 「自己紹介が遅れたね。何を隠そう樽神名アド──」
アド 「──あたしこそが、この『ポートラル』のリーダーさ」
歓迎するぜ新人、と。
ドヤ顔で支配者のポーズをキメるお姉さんの姿が、そこにはあった。
大変申し訳ないけれど、現段階のにおける僕の『ポートラル』に対する評価は──『超不安』だった。
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