第2話「出遭い」
【?月?日 ?時?分 ???】
アド 「とりま、談笑はさておき、てきぱきゾンビちゃんを掃討しちまおうず!」
ひさぎ 「当然」
「……?? ……?」
狼狽える僕をよそに、少女二人は戦闘態勢に入った。
■■─────────バトル────────■■
アド 「ふぅ。掃討完了。 虎口は脱したようだぜお嬢ちゃん」
「……」
アド 「もー、こんな白昼堂々素っ裸なんて、廃墟を裸で練り歩きたくなっちゃった系女子かにゃ?」
アド 「危機意識がヌルいぜぃ、ヌルヌルだぜぃ」
アド 「これに懲りたらパンツくらい履いて、銃の一丁でも隠しとくんだね」
そう悪戯な笑みを浮かべ、お姉さんは僕に手を差し出した。
アド 「ほら、立てるかい? ここで会ったのも何かの縁、君の家までは送っ……て……?」
と──お姉さんは僕の顔を見て固まる。
アド 「え、君……お、お、お、おお──」
アド 「──男の子?!」
「え……ああ。そりゃ……男だけど」
アド 「ッ?!」
あ、やばい。これは悲鳴をあげられてしまう流れだ。
アド 「ちょ、ヒサギン! きてきてカムバックヒアー!」
お姉さんは仲間を呼んだ。
「へ?!」
アド 「見てよ! ご覧あそばしーよ!」
「なんですって?!」
アド 「男だよ! 華も咲き誇る男子ちゃんだよ!」
ひさぎ 「あーもう、ピーチクパーチクうっさいわね。なによ」
お姉さんの呼びかけに応じ、怪物の死亡を確認していた少女が戻ってくる。
ひさぎ 「嘘……。アンタ、本当に男なの……? 男勝りの女じゃなくて?」
アド 「よしヒサギン。致し方あるまい。 真実は詳らかにせんといかんからのぉ」
アド 「ほれ少年、立ち上がって例のぶつを見せてくれないかうへぐへへ?」
ひさぎ 「涎垂れてるわよ」
「あの……」
アド 「お、見せる気になったかな?」
ひさぎ 「見せるな」
見せねぇよ。
「あの……助けてくれてありがとう。本当に助かったよ」
アド 「ふっふふー、礼には及ばないぜ。大したことはしてないよん」
ひさぎ 「そりゃアンタは『応援歌』歌ってただけだものね」
アド 「応援歌じゃないよ! テーマソングだよ!」
ひさぎ 「誰のよ」
「──―君たちは」
僕は会話に割り込む。
「君たち二人は……何者なんだ?」
アド 「え、あたしら?」
「ああ。正直、この場所が何処だかさえ……分からなくて」
アド 「……え?」
「それにさっきの怪物。君たちは詳しそうに見えたけど……ありゃなんなんだ?」
「まるで……ゾンビみたいだったけど」
アド 「……ご、ごめん少年。冗談で……言ってるよね?」
「信じてもらえるか分かんないんだけどさ。実は僕、目を覚ましたら『この場所』に倒れてて……記憶が全くないんだ」
二人の女性は顔を見合わせた。
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